不安要素の多いユナイテッド
一方、リーグ戦で残念な結果に終わったユナイテッドだが、これまでFAカップでいくつもの激闘をくぐり抜けてきたことはチームの自信になっているはずだ。準々決勝ではリバプール相手に延長戦にもつれ込む死闘を繰り広げ、FWアマド・ディアロのゴールで劇的勝利を挙げた。続く準決勝では、イングランド2部のコベントリー・シティに対し3点のリードを追いつかれながらも、そこからなんとか踏ん張ってPK戦の末に勝利した。決して順風満帆とは呼べないチーム状況のなかで掴み取ったこの2つの勝利は、対戦相手であるシティの選手やサポーターにも警戒心を与えるだろう。
それでもやはりチーム全体のコンディションが万全でないことも事実。ニューカッスル戦に続き、最終節のブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン戦で2-0と勝利し2連勝でシーズンを終了したものの、圧勝といえる試合内容ではなかった。また、依然としてディフェンダー陣の負傷は続いており、DFルーク・ショーやDFハリー・マグワイアの欠場が予想される。一筋の光明というならば、シーズンの大半を欠場していたDFリサンドロ・マルティネスや、今シーズンでの退団を発表したDFラファエル・ヴァランがブライトン戦に出場していたことだろうか。しかし、両者のコンディションが絶好調時と別であるのは明白だ。
伝統の一戦で奇跡は起きるか
伝統の“マンチェスター・ダ―ビー”となったFAカップ決勝。それぞれ真逆のシーズンを過ごしたシティとユナイテッドだが、優勝に懸ける想いは同じだろう。ユナイテッドが前述のリバプール戦同様に新たなスターを生み出すのか、それともシティがプレミア王者としての風格を見せつけるのか。2023/24シーズンのプレミアリーグを締めくくる一戦から目が離せない。