本稿は、アフリカビジネスパートナーズによる寄稿記事である。同社は、ケニアや南アフリカに現地法人を持ち、アフリカ40か国で新規事業立ち上げやスタートアップ投資に関する支援を提供している。現地のビジネス最前線を知る同社独自の視点から、投資家が注目するべきアフリカのスタートアップトレンドを毎月ピックアップして紹介していく。

前号では、若者人口の増加が続くアフリカで教育関連のサービスを提供するスタートアップを取り上げた。

第5回となる本号では、ブーム直前にあるアフリカのゲーム業界で奮闘するスタートアップを取り上げる。こちらも、若者が需要を支える市場だ。

アフリカではいま、ゲーム人口が増加しており、その背景にはモバイルゲームの出現がある。なんとゲーム人口全体のうち9割がモバイルゲームをプレイしているという。かつてのようにゲーム機を買う必要がないうえ、スマートフォンの普及がモバイルゲーム人気につながっている。

アフリカでは中国企業が販売するTecnoというブランドの低価格スマートフォンが人気だが、こういったスペックが高くないスマートフォンでも問題なく動くゲームアプリが開発されたことも、ゲーム人口が増加している理由のひとつだ。バトルロワイヤルゲームの 『PUBG Mobile』や『Call of Duty: Mobile』、ランアクションゲームの『Subway Surfers』、パズルゲームの『Candy Crush』が人気となっている。

南アフリカのゲームパブリッシャーが先駆け

Image Credit:Carry1st

アフリカのゲームスタートアップでは、パブリッシャーがまず登場した。南アフリカのゲームパブリッシャーCarry1stは2018年の創業以来、アフリカ全土の数百万人にモバイルゲームを配信してきた。米Activision、フィンランドのSupercell、米Riot Gamesといった世界大手ゲーム制作会社を提携先に抱える。

2020年までのシードラウンドで400万ドル、2021~2022年のシリーズAラウンドで2,600万ドル、2023年のプレシリーズBラウンドで2,700万ドルを調達しており、累計5,700万ドルを調達している。

既存投資家にはAndreessen Horowitz(a 16z)、BITKRAFT、Google、Riot Games、Nasといった大物の投資家企業が並ぶ。日本からもソニーがアフリカのエンターテインメントに特化したCVCを立ち上げた直後、第1号案件として投資している。