日高大 写真:浅野凜太郎

5月18日に開催された2024明治安田J2リーグ第16節。ジェフユナイテッド千葉はホームであるフクダ電子アリーナで愛媛FCと対戦した。前半開始早々にMF田口泰士のゴールで幸先良く先制すると、その後も一切手を緩めることなく前半だけで5得点。後半はやや勢いを失ったものの2点を追加し、気が付けば8-0で圧勝した第8節の栃木SC戦に匹敵する7-1という大差で昨シーズンのJ3王者を打ち破った。

今節、攻守にわたり活躍したのがMF日高大だ。5月3日に行われた第13節いわきFC戦(0-1)で腰を打撲し途中交代すると、続く第14節の横浜FC戦(1-0)は欠場したが同月12日の第15節ヴァンフォーレ甲府戦(2-2)で再びスタメンに復帰し、今節は左サイドバックとして出場。2アシストを記録したほか豊富な運動量で千葉の攻守を支えていた。

試合から数日後に行われた公開練習では、GKを含む2対2のメニューをこなし「まだ痛みはあります。それでもやるしかないですね」と自分の番が終わるたび膝に手をつき息を切らす姿が印象的だった日高。大勝した愛媛戦について、練習後の日高に訊いた。


日高大 写真:浅野凜太郎

気持ちを新たに臨んだ愛媛戦

愛媛戦前の囲み取材時、小林慶行監督が「相手よりも早い準備を徹底しなければ自分たちのスタイルを表現できない」と語っていたように、試合終了間際の失点により勝ち点をこぼした甲府戦で千葉はメンタリティーの立て直しを求められていた。

「慶行さんの言葉は、みんなが感じていたことを再認識させてくれた」という日高の言葉通り、愛媛戦の結果と内容はチームが改めて同じ方向に進み始めたことを予感させるものだった。

自分たちのスタイルを実行できているにも関わらず、甲府戦まではなかなか勝ち星を積み上げられずにいた千葉。「チームとしては悔しい試合が続いていたので、ここから流れを変えたいと思って試合に臨みました」と結果の出ないチームを勝利に導きたかったと語った。実は日高には、この試合で確かめたいものがあった。

日高大 写真:浅野凜太郎

大量得点でも緩まない姿勢

2022年にいわきFCの一員として愛媛との対戦経験がある日高。いわきはそのシーズン、リーグ戦で愛媛に2試合とも勝利しており、自身も愛媛戦でのプレーは悪くなかったと振り返っている。日々さらなる成長を求める日高にとって、今節の愛媛戦は自身の進化を確かめる指標として大事なものだった。「僕は2022年をJ3で戦っていたので、一年間J2でやってきた自分がどれだけ成長できているか確認したかったんです」

「個の部分でクオリティーは出せたと思いますし、チームメイトともいい形で崩すことができた。一昨年の自分と比べることが正しいのか分かりませんが、僕はずっと成長し続けたいと思っていますし、少しは成長を実感できる試合になりました」と自身を評した。

また、印象的だった左サイドでのボール回しについては「僕よりも、泰士さん(MF田口泰士)と祐介(MF小林祐介)とFWドゥドゥが相手を引き付けてバランスを取ってくれた。色々な人が絡んだからこそ生まれたものですね。あのようなプレーは誰が出場しても再現できるようにしたいです。意外と相手がガンガン来なかったので、サイドバックとして出るべきタイミングで上がることができたのが2アシストの要因だと思います」と振り返った。

そのうえで「大量得点で気が緩むことはないですし、むしろ逆です。あれだけ点が入った後でも、失点すると落ち込みますし反省します。1-0や2-0の時よりも、大量得点の後は気を引き締めていました」と、あれほどの大差でも気持ちを緩ませていなかったことを明かした。

さらには改善点として「プレースピードでいえば、少し愛媛に合わせてしまうところがあった。相手が何もできない状態でゴールまで行けるシーンはあったと思うので、もっとできると思います」と語り、次節以降への意欲も感じさせた。


藤田和輝 写真:Getty Images