衛星運用への影響と対策
太陽嵐に伴う高エネルギー粒子の流入により、衛星が受ける直接的な影響としては、軌道高度の低下や電気的な障害が考えられる。すでに今年に入り、ハッブル宇宙望遠鏡の軌道減衰速度が平常時の2倍に達したことが確認されている。
また、過去の事例として1994年の太陽嵐では、3機の通信衛星で電気的故障が発生し、何億ドルもの損失が出たと報告されている。このため、衛星を運用するオペレーターは太陽活動の極大期に備え、太陽黒点の動向を常に注視しており、必要に応じて一部の機能を事前に停止させるなどの対策を取っているという。
しかし、太陽嵐の発生時期や規模を的確に予測することは困難であり、マクドウェル博士は「太陽嵐の襲来に対し、いくつかの注意を払って、その望遠鏡の一部を守るための措置をとった。特定の部分をシャットダウンすることで、センサーへの電気的損傷のリスクを下げるが、全体をシャットダウンするわけではない」と説明している。