日本初のデザイン事務所を設立し、紫綬褒章授与などでその功績をたたえられたデザイナー、渡辺力さん。1979年の代表作「RIKI MARINE CLOCK(リキ マリンクロック)」が復刻され、タカタレムノス社から販売される。

船舶用マリンクロックをインテリアユースにデザインした名品で、表示の異なる2つのバリエーションを展開する。

日本デザイン界のパイオニア、渡辺力さん

日本におけるインテリアデザインの礎を築いたデザイナーであり、2013年に惜しまれつつもこの世を去った渡辺力さん。

東京高等工芸学校木材工芸科を卒業した渡辺さんは、母校助教授、東京帝国大学(現東京大学)林学科助手等を経て、1949年に日本初のデザイン事務所を設立したことでも知られる。

東京造形大学室内建築科、クラフトセンター・ジャパン、日本インダストリアルデザイナー協会、日本デザインコミッティーの創設にかかわり、日本デザイン界の発展と後進の育成にも尽力した。

デザインの分野では、京王プラザホテル、プリンスホテルなどのインテリアデザインのほか、ヒモイス、トリイスツール等の家具を手がける。

また、日比谷第一生命ポール時計などのパブリッククロックからウォッチまで、時計の仕事はライフワークとなった。

海への憧憬を抱いていた渡辺さんは、マリンクロックに強い愛情を持ち、自身でもいくつかコレクションしていたという。

船舶用に特化した独特の雰囲気を持つマリンクロックというジャンルを自分なりに解釈し、1979年、インテリアユースにデザインしたのが今回の時計のオリジナルだ。

復刻された「RIKI MARINE CLOCK」

バリエーションは2種類。「Arabic」は読みやすいアラビア数字と秒針で視認性が高く、よりマリンクロックらしいモデル。スイープセコンドのムーブメントを搭載する。

特別なこだわりを持つDidoni書体のアラビア数字に対し、枠形状や材質との相性とバランスを探って試作を繰り返し、時間をかけてたどり着いた境地だという。

「Roman」はシンプルで落ち着きのある秒針なしのローマ数字で、部屋の雰囲気を邪魔しない。

どちらも素材はステンレススチール、真鍮、アクリル。鈍い光を放つ、段差を生かしたステンレス絞り加工の枠体が立体感を生み出す。

アルミを削り出した見返しや真鍮製のオリジナル飾りネジ、面取りを施したアクリル風防など、細部まで作り込まれている。価格はそれぞれ¥55,000(税込)。

販売するのは掛け時計、置き時計を主とするインテリア関連用品の企画製造販売をおこなう「TAKATA Lemnos(タカタレムノス)」。

自社ブランドとして開発したGANBARA「HOLA」がグッドデザイン賞やニューヨークのクーパー・ヒューイット・スミスソニアン・デザインミュージアムの永久展示品に選定されるなど、デザインクロックブランドとして高い評価を得ている。国内外で活躍する著名なデザイナーとのプロジェクトも多数成功させてきた。

クラシカルなイメージを保ちながら、現代の暮らしに合うモダンスタイルを巧みに取り入れた逸品。インテリアにいかがだろうか。

タカタレムノス 東京ショールーム・オフィス
所在地:東京都文京区大塚3-7-14 シャノワール文京1F

(SAYA)