ハーフ顔が魅力的なのは「平均効果」のおかげ?
ハーフ顔が魅力的に見える理由について、研究者は顔の知覚における”平均効果(average effect)”に起因する可能性があると指摘します。
研究者が言及する”平均効果”とは、多数の顔の特徴を平均化して生成された「平均顔」が個々の実際の顔に比べて、親しみやすく、魅力的に見えやすい効果を指します。
平均顔の研究は何十年も前から行われており、1990年にはすでに米テキサス大学オースティン校(UT Austin)によって、平均顔は個々の顔よりも美しく魅力的に見られやすいことが報告されています。(Psychological Science, 1990)
個々の顔に見られる強い特徴はネガティブな要素として認識されやすく、これが平均化によって薄れることが、顔知覚における平均効果の原因だと考えられます。
例えば、高すぎる鼻や太すぎる眉毛、大きすぎる目といった強い個性が中和されて、バランスの取れた顔になるのです。
これを踏まえると、今回のハーフ顔の研究についても、白人とアジア人の強い個性が程よく中和されたために、どちらの人種からも好ましく魅力的に見えるようになったと考えられます。
そして、こうした顔の好ましさや魅力度が、知性や信頼性といった社会面の評価の高さにもつながっているのでしょう。
アジアやヨーロッパといった人種に特有の顔立ちが、異人種間の交流や理解の妨げになることがありますが、ハーフは社会心理的に人種の垣根を超えて2つの異なる文化をつなぐ存在となるかもしれません。
参考文献
Evolutionary psychology study finds biracial individuals are perceived more positively across cultures
元論文
Biracial Faces Offer Visual Cues of Successful Intergroup Contact: Genetic Admixture and Coalition Detection
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。