京都・東山の迎賓館「長楽館」では、8月16日(金)に「大文字 五山の送り火の夕べ」を開催する。

明治時代の重鎮が眺望を楽しんだ「長楽館」で、フランス料理のフルコースディナーを味わい、通常非公開の最上階の和室から京都の伝統行事「五山送り火」を鑑賞する限定イベントだ。

現在、予約を受け付け中。一夜限りなので、興味があるなら早めに予約しておきたい。

絶好の「五山送り火」鑑賞スポットである長楽館

「長楽館」は、煙草王と呼ばれた明治時代の実業家・村井吉兵衛の別邸として、1909年に建てられたモダン建築であり、京都市有形文化財だ。

同館は、伊藤博文や大隈重信などの明治の重鎮や世界の要人を迎える迎賓館だった。伊藤博文は「此の館に遊ばば其の楽みや蓋し長へなり」として、この洋館を「長楽館」と命名(1)し、館内からの格別の眺望を楽しんだと言われている。

そんな同館では、かつて明治の偉人が眺望を楽しんだ同じ場所から「五山送り火」を鑑賞し、京都の文化を体感してほしいと考え、同イベントを毎年開催している。

通常非公開の書院造の和室から鑑賞

「五山送り火」はお盆の精霊を送る伝統行事で、通説によれば、松明の火を空に投げ上げて虚空を行く霊を見送るという風習に端を発したものと言われている(2)。それは、長い歴史を持つ京都の伝統であり、お盆の終わりを告げる行事として京都の人々に受け継がれてきた。

同館は東山の高台に位置しており、2階・3階の各部屋から、如意ヶ嶽の「大文字」、松ヶ崎の西山・東山の「妙・法」、西賀茂船山の「船形」の送り火が鑑賞できる。

今回、鑑賞会場として特別開放する「御成の間」と「長楽庵」は、洋館の最上階3階にある通常非公開の和室だ。

「御成の間」は、折上格天井にバカラ社製のシャンデリアが飾られた書院造の和室で、「長楽庵」は和柄のステンドグラスが飾られた茶室。それは、表千家の「残月亭」の写しと伝わる。

いずれの和室も、東洋と西洋の文化の融合が図られた特異な空間だ。

京都のフレンチを味わい、伝統を楽しむ夕べ

今回のイベントでは、同館内にある「LE CHENE(ル シェーヌ)」のフランス料理が楽しめる。伝統的なフレンチの技法を用いながら、京都らしいテロワールを感じられる料理が並ぶ。

メインディッシュの京都丹波牛や日本海の甘鯛(ぐじ)、万願寺唐辛子や賀茂茄子をはじめ、初秋の気配が漂うような地場の食材を生かした一夜限りのコースだ。

京都を味わい、その伝統を体感できる一夜限りのイベントに参加してみては。

1 「朝日新聞京都附録」(1909年5月26日)より
2 「京都観光Navi」より

大文字 五山の送り火の夕べ
開催日:8月16日(金)
会場:LE CHENE
所在地:京都府京都市東山区八坂鳥居前東入円山町604 長楽館
開催時間:食事開始 17:15・17:30・17:45、送り火鑑賞 20:00頃~
料金:1名¥28,600(税込、サービス料別)

(田原昌)

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