海外への販路拡大

 積極果敢なチャレンジだが、懸念点はあるのか。

「黒字化を定着させられるかという点です。前述のとおり同社では売上的には飲食事業より水産事業のほうが大きいものの、利益ベースでは逆転し、飲食事業の営業利益は3.6億円で利益率は10.6%なのに対し、水産事業は2600万円で利益率は0.4%しかありません。漁業や水産加工・卸は同社にとってまったく新しい事業で飲食事業とは異なるため、M&Aで会社を取得したとしても、うまく経営して継続的に利益を出せるようになるのは非常に難しく、また失敗するリスクもはらんでいます」(同)

 では、果たして勝算はどれくらいあると考えられるか。

「期待も込めて、ぜひ成功させてほしいと思います。漁業は既得権益化して守られており、地域の漁業組合に加入しないと手掛けられないため新規参入が難しい分野なので、サンコーも参入にはとても苦労したと思われます。株式会社化して漁業を儲かるビジネスにできれば、そのノウハウを生かして海外進出を進めることも視野に入ってきます。すでに水産物の輸出強化のためにハンガリー政府公認機関と合弁会社を設立したり、ベトナムに飲食合弁会社を設立していますが、海外への販路を拡大させて川上から卸の部分でも利益を出せる体制を確立できればサンコーは大きく成長できる可能性があるでしょう」(同)

 ちなみに約10年ぶりに「東京チカラめし」を新規出店した狙いは何なのか。

「理由は“よくわからない”というのが正直なところです。サンコーは今年度、飲食店を10店舗増やす計画ですが、その大半が水産物を扱う『アカマル屋』『牧原鮮魚店』であり、『東京チカラめし』が属する『その他』は1店舗減少となっています。会社として新しいことにチャレンジするという意味合いで『東京チカラめし』を出店したのかもしれませんが、現在の同社にとってはメインの事業ではないと思われます」(同)

(文=Business Journal編集部、協力=堀部太一/外食・フードデリバリーコンサルタント)

提供元・Business Journal

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