2024年には、さまざまな働き方改革が行われ、労働者にメリットがある改革も多く存在しました。一方で、経営者側は労働条件が厳しくなることで「2024年問題」と呼ばれる人件費高騰を中心とした問題に直面しています。
中堅・中小企業向けにM&A仲介サービスを展開するM&Aキャピタルパートナー株式会社は、2024年3月に物流・運送業の経営者を対象に「物流・運送業のM&Aの意識調査(2024年版)」を実施しました。
先行きに厳しさを感じている
「あなたは物流・運送業界の先行きに対して、どのように感じていますか」の問いに、物流・運送業経営者の73.3%が「業界の先行きはさらに厳しくなる」と予想。2023年よりも3.3%上回る結果に。
また、「現状維持」が15.8%という回答となりました。
荷主企業に対する運賃の値上げ交渉に関する調査では、「運賃交渉をしている」が44.6%、「運賃交渉をする予定がある」が18.8%と、合計で63.4%が「実施中/実施予定」と回答しています。
「実施中/実施予定」は、2023年よりも7.6ポイント減少し、「交渉したいができない」という意見の増加がみられました。
一方で、2024年問題は顕在化しているため、「予定がない」などの回答は、既に交渉が終わっている可能性も考えられるでしょう。
2024年問題の対策とその効果
続けて「働き方改革関連法により、今後さらなる人手不足が予測されていますが、ドライバー不足への対策を実施していますか」と聞いたところ、「すでに実施している」が25.7%、「実施する具体的な予定がある」が23.8%という結果に。2022年に比べると、2.9ポイント増加しています。
対策内容としては、複数回答可で「ドライバー賃金の向上」が1番多く、次いで「労働時間の改善」が多い結果に。2022年の調査とは、上位が入れ替わる形となりました。
「労働時間改善のための取り組み」に関しては、複数回答可で「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が最も多く、6割以上の経営者が少なからず効果を実感しているようです。
先の質問で「労働時間の改善(生産性の向上)」と答えた人に、「労働時間の改善のために取り組んでいることを具体的に教えてください(複数回答)」と聞いたところ、「荷役・荷待ち時間削減の交渉」が62.1%、「給与条件や待遇改善による採用強化」が51.7%でした。
6割以上の経営者が少なからず効果を実感しているようです。