目次
非日常の空間で上質な葉巻をくゆらす。酒と香り高い煙を愉しむシガーバーの大人の嗜み方を基本からご紹介。
[Today’s CIGAR BAR]上質なシガーをカクテルと味わう
The TRAD
雑踏の中にあって周囲には「琥珀」や「EST!」といった名バーがある。4人程度が入れる個室も完備。上野駅前と大宮駅前にも姉妹店があるがいずれも異なるコンセプトの造り。
東京都文京区湯島3-43-9 深瀬ビル1F
TEL:03-5812-4800
営業時間: 18:00~24:00
定休日:日曜、祝日
アクセス:東京メトロ「湯島駅」より徒歩約3分
■非日常を味わうための 酒と煙に浸る特別空間
不忍池のほど近く、古くは寛永寺の門前町で森鴎外や池波正太郎なども足を運んだ湯島。猥雑さが入り混じる仲町通りの裏路地に「The TRAD」がある。
ここは酒とともに葉巻の豊かな煙を愉しむシガーバー。店内にはブリティッシュアンティークを中心に世界中を旅しながら集めた品々が置かれている。
煙がゆらゆらと漂い、レコードから流れてくるジャズやソウルミュージックと相まって籠もりたくなる居心地の良さがある。
ここで販売している葉巻は1200円程度から7000円台。市場には数万円代の葉巻もあるので、それに比べればリーズナブルな品揃えだ。
通常のバーと同じように酒を注文して、葉巻を愉しみたければマスターから購入するか持参した葉巻を吸えば良い。
「初心者の方が最初から本格的なシガーバーに行くのは少しハードルが高いかもしれません。ここでは希望があれば葉巻の構造や種類など基本的な情報から吸い方までひと通り説明しています。こちらでカッティングして火をつけ、吸える状態にしてから提供することもできますよ」とマスターの川﨑堅城さん。
川﨑さんは横浜のバー「スリーマティーニ」で修業し15年前に独立。葉巻は公私ともにその頃から嗜み、葉巻歴20年ほどになるという。
コニャック、シガー、チョコレート、さらに珈琲などを加えた「食後のC」が、ヨーロッパを中心に昔から愛されてきた。これらは甘みや苦味、スパイシーさなどが互いに引き立て合うことで味わいに深みを出し、食後の余韻を充実させてくれる。
だからシガーバーといえども、ここでは酒が飲めなくても問題ない。珈琲と一本の葉巻、という過ごし方もありなのだ。
●オススメのCOCKTAIL
エスプレッソマティーニ
自家製の珈琲ウォッカ、オレンジリキュールのグランマニエ、イタリアのアマレット、エスプレッソをシェイク。珈琲の苦味とリキュールの甘みが絶妙なバランスのカクテル。
葉巻のお供はもちろん、食後の珈琲代わりとしても愛されている。1500円。
●CIGARを買える店
・昭和中期創業の喫煙具の老舗
KAGAYA 新宿店
昭和37年(1962)創業の喫煙具を扱う老舗で、新宿と有楽町に実店舗がある。最高級のハバナ産をはじめ厳選した世界中の葉巻を取り扱う。
東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊国屋ビル1F
TEL:03-3352-3689
営業時間:12:00~19:00
定休日:無休
アクセス:JR「新宿駅」より徒歩約2分
・最高級シガーブランドの直営店
DAVIDOFF OF GENEVA 銀座店
葉巻の最高峰銘柄の一つ、ダビドフの直営店で同ブランドのたばこ類はもちろん葉巻に合うウイスキーやコニャックなど上質な酒類も取り扱う。
東京都中央区銀座8-5-6
TEL:03-5537-5585
営業時間: 12:00~21:00(土日祝は~19:00)
定休日:無休(年末年始を除く)
アクセス:東京メトロ「新橋駅」より徒歩約5分
■シガーバーに行く前に 基本の所作を覚えておこう
一般的な紙巻きたばこと葉巻は似て非なるもの。とくに葉巻はふかしたときの豊かな香りを愉しむ嗜好品だ。
喫煙時間も紙巻きたばこに比べて長いため、バーでゆっくりと酒を飲みながら愉しむのに適している。まず葉巻を始めるにあたり扱い方が最初の関門となる。紙巻きたばこはやや吸い込みながら点火して、その後は深々と肺まで煙が行きわたるように吸う。
一方、葉巻(プレミアムシガー)の場合、まずは吸い口をカッターでカッティングしてから反対の端に点火する。その際、葉巻を回しながら先端をまんべんなく炙るのがポイントだ。
火がついたら何度か吸い込んで火のつきをよくするか、団扇のように仰ぐことで均一に火を行きわたらせる方法がある。葉巻は香りを愉しむものなので口中で煙をくゆらして吐き出す。
灰皿の上に置いておけば自然と火は消えるので、気が向いたときに同じ工程を繰り返せば再び吸うことができる。初めのうちはバーのマスターや慣れた人にやってもらうと良いだろう。
また、香りを愉しむだけでなくシガーバンド(ラベル)を見比べたり、コレクションしたりするのも面白い。シガーバンドは銘柄を見分けるためのエンブレム的存在だが、なかには人物や風景などさまざまなデザインの銘柄が存在する。
ちなみに葉巻は、たばこの中でも最古の形態で、メソアメリカ文明を中心に古代アメリカの時代には葉巻文化が起こっていたとされている。
一方、日本では安土桃山時代にヨーロッパ人によって広められ、それまではキセルによる喫煙が主流だったが、鎖国が終焉を迎えると葉巻の流通が盛んになったという。
葉巻は一部のコンビニエンスストアやたばこ専門店で購入できる。手作業で生産されるプレミアムシガーの場合、厳格な湿度管理が必須となるため、「ヒュミドール」という専用ケースでの保管をお勧めする。
まずは定番とされる珈琲とナッツの風味が愉しめる「モンテクリストNo.4」や、柑橘系の爽やかな甘みの「ロメオ・イ・フリエッタNo.2」が良いだろう。どちらもキューバ産プレミアムシガーの三大銘柄に数えられ、サイズや味のバランス感覚に優れている。
「現実からかけ離れた空間で、時間を忘れて非日常を味わうために酒や葉巻は最適です。慣れてしまえばこんなに居心地の良い場所は、バーのほかにはないでしょう」
葉巻の味を覚える頃には映画『スカーフェイス』(83、米)のアル・パチーノのように、葉巻を嗜む所作も堂に入ることだろう。
●CIGARの基本
銘柄や形によって違った香りや味わいが生まれる。まずは基本となる知識を身に付けよう。
シガーとは
ハンドメイドのプレミアムシガーと機械で作られるドライシガーの2種類に大別される。ドライシガーは比較的安価で管理も簡単なので、手軽に葉巻を楽しめる。
選び方
ブランド、シガーバンド、産地や価格などさまざまな要素があるがまずはサイズで選ぶのがお勧め。吸い慣れていないうちは比較的大きめのサイズのものが吸いやすい。
三大銘柄
銘柄は数あれど、コイーバ、モンテクリスト、ロメオ・イ・フリエッタがスタンダード。ちなみにモンテクリストは「ロミオ&ジュリエット」の登場人物に由来する。
●CIGARの道具
カッターとマッチ・ライター、灰皿があれば葉巻を愉しめる。こだわりのアイテムを揃えよう。
カッター
ギロチン式、シザー式、パンチ式などの種類がある。慣れないうちはシザー式が扱いやすい。
マッチ等
葉巻は香りが命なので硫黄のにおいが少ないマッチが使われる。オイルライターはお勧めしない。
●CIGARの嗜み方
シガータイムはぜいたくかつスマートに愉しみたい。基本となる所作を身に付けよう。
1.CUT(吸い口を切る)
丸みをやや残す位置に刃を当てて一気にカット。切り方にもいくつか種類があり、それによって味わいも変化する。
2.BURN(反対側に点火)
火の頂点から少し離して葉巻を回しながら全体を炙る。一部だけが燃える「片燃え」は味にムラが出るので要注意。
3.SMOKE(煙をくゆらす)
紙巻きたばことは異なり深く吸わず肺には入れない。口中で煙をくゆらしながら味わいと香りを堪能する。
●CIGARのメッカを知る
キューバ共和国
コロニアル調の街並みが残り、道路には50年代のクラシックカーが走る。豊かな土壌と熱帯の気候はシガー用の葉たばこの生産に向き、有名な産地であるブエルタ・アバホが世界で最も適しているといわれている。
また熟練の職人「マスター・トルセドール」が手巻きした葉巻は深みのある味わいを生み、キューバ産の地位を築いている。
撮影/むかのけんじ
提供元・男の隠れ家デジタル
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