定年後なのに給与が高い仕事はあるだろうか?
実は60歳、65歳、70歳でも若い世代と同等の給与をもらえる業界があることをご存じだろうか。
昭和の時代とは異なり、現在は定年退職後のシニア世代が働くことも珍しくない時代となった。
今回は、シニア世代でも稼げる仕事・業種、仕事選びのポイントも紹介していく。
シニア世代の年収が特に高い分野2選
「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果によると、シニア世代のフルタイムワーカーの中でも特に年収が高いのが「教育・学習支援」分野、「学術研究、専門・技術サービス業」分野だ。
「教育・学習支援」分野の年収は60代前半で約400万円、70歳以上でも300万円以上になっている。「学術研究、専門・技術サービス業」分野は60代前半が約460万円以上、70歳以上が360万円以上だ。
年収(賞与等含む) | |
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60~64歳 | 399万3,000円 |
65~69歳 | 386万7,000円 |
70歳~ | 339万2,000円 |
なお「教育・学習支援」分野には、各種学校、学習塾・予備校、カルチャースクール、通信教育、図書館、博物館、植物園などの事業が含まれる。
年収(賞与等含む) | |
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60~64歳 | 462万9,000円 |
65~69歳 | 405万7,000円 |
70歳~ | 366万8,000円 |
「学術研究、専門・技術サービス業」分野には、各種研究所、法律事務所、会計事務所、経営コンサルディング、クリエイティブ関連業、広告代理店、設計事務所、写真スタジオ、獣医師などが含まれる。
短時間労働では年収がグッと下がる
さて、特にこれといったスキルを持たない場合、シニア世代がフルタイムの仕事に就くのは難しく、その場合の選択肢は非正規雇用扱いの短時間労働となる。
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査(短時間労働者)」によると、シニア世代(60歳以上、男女)短時間労働を行うシニア世代(60歳以上、男女)の1時間あたりの賃金は1,400円程度となっている。
同調査で1日当たり所定内実労働時間が5時間程度であることがわかっており、日給にすると7,000円、月に15日間働いたとしても月収は105,000円、年収は120万円程度となる。
シニア世代だからこそライフワークバランスを重視
収入だけを考えるとフルタイムワーカーになるのが望ましいのは確かだ。しかし、「老後は自分のペースで趣味も楽しみながらゆったり働きたい」という人もいるだろう。シニア世代だからこそ、ライフワークバランスを重視すべきだという考え方もある。
ゆったり働きたいなら短時間労働を選ぶことになるが、その場合でもなるべく自分のスキルを活かせる仕事を選び、納得のいく収入を得られるようにしたい。自分が長年培ってきた能力を発揮できる仕事のほうがやりがいも感じられるはずだ。
定年後の仕事選びのポイント
最後に、定年後の仕事選びで押さえるべきポイントを紹介する。
希望する収入額を明らかにする
定年後の仕事探しでは、希望する収入額をしっかり決めることから始めたい。例えば、現役のうちに老後資金の準備ができているのであれば、大きな金額を稼ぐ必要はなく、社会とのつながりを持ち続けることを目的にゆったり働くのも良いだろう。
しかし、十分な老後資金が準備できていないのであれば、働けるうちはできるだけ生活資金を稼いだ方が安心だ。70歳まで働くと仮定し、公的年金の金額なども加味しながら、自分がそれまでに得るべき金額をまず明確にしよう。
譲れない条件を明確に
定年後は、年齢的にも体力を消耗しやすく、疲れも取れにくい。そのため、なるべくストレスなく働き続けるのが大切だ。
「自宅から近い職場が良い」「立ち仕事は嫌」など譲れない条件もあるだろう。我慢しても続けるのが難しくなる可能性が高いため、妥協せずに仕事探しをするのが良いだろう。
活かせるスキルはないか
現役時代に身に付けたスキルを活かせば、定年後も高収入を得られる可能性がある。スキルを活かしやすい仕事に就ければ、大きな負担を感じることなく活躍できるだろう。
また、会社に雇用されて働くだけではなく、個人事業主や法人を設立して活動するのも自分のペースで働けるのでおすすめだ。
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文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。