※本記事は2015年の記事の再掲です。
第二次世界大戦の終結から70年。その間、第三次世界大戦の危機はいくども生じている。本稿では、戦後史の順を追って、各事象の危険度を検証してみたい。
【1】朝鮮戦争(1950~53年)、危険度80%
第三次世界大戦の危機は終戦後わずか5年で訪れる。戦後、日本の支配から解放された朝鮮半島は、北緯38度線を境目として、実質的に北側をソ連軍、南側をアメリカ軍が統治。対立を深めていた米ソ両国の後押しによって北側には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、南側には大韓民国(韓国)がそれぞれ1948年に建国され朝鮮半島は分断国家となる。1950年に北朝鮮が38度線を越えて韓国側に攻め入ったことによって朝鮮戦争が勃発。
当時の韓国は日本と同じくマッカーサーに全識見が与えられていた。当初は北朝鮮の侵攻を楽観視していたため、ソ連、中国の支援を取り付けた北朝鮮軍によって韓国領内のほとんどを占拠されてしまう。だが、マッカーサーの仁川上陸作戦により形成は逆転。韓国側が38度線を越え、中ソ国境まで攻め入る。マッカーサーはさらなる侵攻を目指し、北朝鮮壊滅や、原子爆弾の使用も提言したが、これが影響しアメリカ政府によって解任される。この解任がなければ、第三次世界大戦へなだれ込んだ可能性は相当に高い。
【2】第二次中東戦争(1956~57年)、危険度70%
中東も第三次世界大戦の引き金となりうる地域だ。1948年ユダヤ人国家としてイスラエルが建国される。イスラエルは他のアラブ諸国と政治的、宗教的対立を深め、1948年から73年にかけて四度の戦争が起こり、一連の戦いは中東戦争と呼ばれる。もっとも危機的であったのが第二次中東戦争である。
スエズ運河の覇権をめぐって、運河の国有化を宣言したエジプトと、イスラエルおよび、同国を支援するイギリス、フランスの間で戦争が巻き起こったのだ。この戦争では、アメリカ大統領であったアイゼンハワーが、ソ連の支援を取り付け、エジプト側に回ったことで、停戦を迎えた。
【3】キューバ危機(1962年)、危険度90%
戦後史において、第三次世界大戦となり得た危険度がもっとも高いのがキューバ危機である。当時、アメリカと敵対関係にあったキューバにソ連の核兵器が配備された事件である。当時米ソは対立関係にあったとはいえ、両国は遠く離れた距離にある。だがキューバとアメリカ本土は200キロ未満の距離しかない。これほど近い距離で、核ミサイルが対峙、いつ発射されてもおかしくないという極めて危機的状況に陥った。
最終的に、当時のアメリカ大統領であるジョン・F・ケネディと、ソ連書記長のニキータ・フルシチョフの間で“ボス交渉”が行われ、ミサイルは撤去された。
【4】ベトナム戦争(1960~75年)、危険度60%
1960年代から70年にかけて、世界戦争の危機は再びアジアで発生する。ベトナム戦争は、北ベトナムを支援するソ連、中国と、南ベトナムを支援するアメリカの代理戦争であった。
戦火は隣国のラオス、カンボジアにも飛び火し、カンボジアの内戦状態は1990年代初頭まで継続する。さらにカンボジア国内では独裁者ポルポトが率いたクメール・ルージュによって200万とも300万とも言われる虐殺も起こる。ゲリラ戦で苦戦を強いられた米軍では、枯葉剤散布による甚大な人的被害、環境破壊をもたらした。さらに毒ガスであるサリンも使用されるなど、のちのテロリズムの時代を予見する戦争でもあった。
【5】911アメリカ同時多発テロ(2001年)、危険度55%
2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルなどがハイジャックされた飛行機によって攻撃される。ブッシュ大統領は「テロとの戦争」を宣言し、翌月にはアフガニスタン空爆を開始。のちに2003年のイラク戦争や、近年のIS掃討作戦、シリア空爆に連なる長い戦争の始まりとなる。
アメリカは同盟国に「SHOW THE FLAG」(旗色を鮮明にせよ)と呼びかけ、日本も追従した。対テロ戦争は、現在も継続中だ。解決済みの事象ではなく、「マジで第三次世界大戦になりかける(であろう)」事例であると言える。
第三次世界大戦の火種は世界中でくすぶり続けている。真の平和社会はいまだ実現していない。
(文=平田宏利)
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提供元・TOCANA
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