世界中のあちこちで戦争や小さな紛争が続いており、国や団体はより強力な兵器を求めています。
そんな願望にこたえるかのように、最近、エストニアのロボット車両メーカー「Milrem Robotics」から、AI制御の無人戦車「Type-X」が発表されました。
公開された動画では、無人戦車がAI制御によって移動し、ターゲット選択・発射準備までオートで行っている様子が映し出されています。
完全なAI制御型戦車が戦場に投入されるのもそれほど遠くないかもしれません。
AI制御による無人戦車が、戦場をさらに混沌に導くかも
Type-Xと呼ばれる新しい戦車には、50mm大砲、対戦車ミサイル、有線ドローンなど、さまざまな武器が搭載されています。
そしてAI制御が可能になっており、無人でも目的地までの経路を導き出したり、障害物を検出して避けたりできます。
また自動でターゲットを発見し、照準を合わせ、攻撃準備を整えることもできます。
しかし大砲の最終的なトリガーを引くのは、あくまでも遠隔操作している兵士です。
そのため現段階では、「AIによる完全な自律制御」ではりません。
とはいえ、将来的にはトリガーを含めたすべての制御をAIにゆだねることもできるでしょう。
最近、公開された動画では、Type-Xによる実弾テストの様子が映されています。
まるで人間が操縦しているかのようにスムーズに走行し、ターゲットに照準を合わせています。
ターゲットの車両が大破していることから、AIの自動照準が極めて正確であることも分かります。
Milrem Robotics社のディレクターであるガート・ハンケヴィッツ氏は、Type-Xの用途について次のように述べています。
「Type-Xを戦場で最も危険な地域に送り込みたいと思うはずです。
中に誰も乗っていないのですから」
また司令官は、Type-Xを有人車両の前を走行するように配置するでしょう。
仮にType-Xが吹き飛ばされても、それによって後方にいる全ての兵士を守ることができるからです。
そして既に、NATO加盟国7カ国を含む、10カ国がType-Xを発注しているとのこと。
今後は世界中の戦争に、AI制御の無人戦車が登場することになるかもしれません。
この事実は、未来の完全AI制御によるロボット戦争の開始を予期させるものです。
この点について多くの科学者たちは、自律型兵器が広がることの危険性を訴えてきました。
「AIには民間人や兵士、無抵抗の人々を見分けることができない」というのです。
戦場で人間の意思決定が奪われるなら、倫理や道徳が全くない虐殺が広がるだけなのかもしれません。
とはいえ現在、自律型兵器が利用されていない戦場でも、無抵抗な民間人が襲われています。
そもそも戦場に倫理を求めることは難しく、AIの投入によって混沌は増すばかりなのかもしれません。
提供元・ナゾロジー
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