火星には地球とは異なる不思議な地形がいくつも見つかっていますが、中でも謎の多いのが「アングストゥス迷路」あるいは「インカシティ」と呼ばれる地形です。
ここはまるで都市の遺構のように人工的に区切られた地形が広がっています。
この地域は形成方法も未解明ですが、他にも不思議なものが見つかっています。
それがESAが公開した「アングストゥス迷路(Angustus Labyrinthus)」の画像に映る、謎の「黒いシミ」です。
この地域のすぐ近くの地表には同じように黒いシミが見られていて、まるで「大量のクモ」のように見えると話題になっています。
もちろん、実際にクモが存在しているわけではありませんが、この「黒いシミ」や「クモのような地形」は、どのようにして生じたのでしょうか。
迷路のような不思議な地形!? 火星の「インカシティ」
火星の南極付近には、「アングストゥス迷路(Angustus Labyrinthus)」と呼ばれる不思議な地域があります。
そこでは、直線的ないくつかの尾根が交差するように形成されており、ブロックごとに区分けされた人工的な都市のようにも見えます。
こうした特徴がインカ帝国の遺跡を彷彿とさせるため、科学者たちは、アングストゥス迷路に対して「インカシティ(Inca City)」というニックネームを付けているようです。
現段階では、この火星のインカシティがどのように形成されたのか、正確には分かっていません。
ESAによると、「砂丘が時間と共に石に変化したか、火星のひび割れた層からマグマや砂などの物質が染み出ているのかもしれない」とのこと。
あるいは、古代の火星において、氷河が衰退する際に、この尾根のような高い堆積壁を残したのかもしれません。
また2002年には、火星探査機によって、インカシティが直径86kmの円形地形の一部であることも分かっており、科学者たちは、この地形が宇宙から来た隕石の衝突によって形成された可能性があるとも考えています。
とはいえ前述のとおり、形成に関しては未だはっきりと解明されておらず、それゆえインカシティは、謎の多い地域だと言えます。
そして今回、ESAはそんなインカシティに広がる「黒いシミ」の画像を公開しました。