■ストーキング、リベンジポルノ、そして……

 9月27日、池永は夜行バスに乗って上京する。28日には凶行に使われることになる刃体約13センチのペティナイフを、吉祥寺の「ロフト」で購入している。文香さんの自宅周辺では池永と見られる男が何度も目撃され、10月1日と4日には文香さんの通学途上に姿を現した。

 10月2日、海外の投稿サイトに文香さんの画像がアップロードされた。スカートをたくし上げて下着を見せているもの、一糸まとわぬものなど、全部で67点。4日には、裸の文香さんが裸の男の下方で頭を動かしている1分間の動画がアップロードされた。いうまでもなく、池永によるリベンジポルノである。

 10月8日朝、文香さんは両親と一緒に、ストーカー被害を相談するために三鷹署を訪れた。その場で三鷹署員は池永に連絡しようとしたが、電話に出なかったため、「三鷹署まで連絡が欲しい」と留守録を残した。だがそれは、文香さんが池永の新しい携帯番号だと思い込んだ彼の後輩の電話番号だった。

 その日の午後、池永は文香さん宅に侵入する。隣家の室外機をつたって鍵のかかっていなかった2階の窓から侵入し、1階の文香さんの部屋のクローゼットに身を潜ませた。そこから京都の友人に向かってLINEを送っている。

〈ふんぎりつかんからかなりストーカーじみたことをしてる〉
〈元カノの家の押し入れにて〉
〈誰がいるか分からないんだ〉
〈普通にでようども鉢合わせしたら終わってしまう〉
〈詰んだ〉

 受け取った友人は訳が分からず、何かの冗談だと思った。

【日本怪事件】元カノの家の押し入れに潜んで殺害!
(画像=TwighlightzoneによるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)

 帰ってきた文香さんが三鷹署員から帰宅確認の電話を受けたのが16時51分。2分後に通話が終わると、池永はクローゼットから飛び出し、制服姿の文香さんを手にしたペティナイフで襲った。道路まで逃げた文香さんにまたがり、首や背中など11カ所を刺して殺害した。

 現場から逃走した池永は、再び友人にLINEした。

〈被害者。無差別ではないです。恨みがありました。〉

 言い訳のような“犯行声明”とともにURLが貼り付けてあった。それは池永がリベンジポルノをアップロードしたサイトのアドレスだった。 

 路上で倒れている文香さんが発見され、110番通報された。ズボンに血痕をつけた池永は職務質問され、事件への関与を認めたため、18時30分に緊急逮捕された。

 この時、文香さんが18歳、池永が21歳だった。

 法廷で池永は、リベンジポルノを拡散した理由を「自分の存在証明」と開き直った。

 東京地裁立川支部の裁判員裁判判決は2014年8月、懲役22年(求刑・無期懲役)の判決を下したが、東京高裁判決は15年2月、「起訴されていないリベンジポルノ行為まで処罰し刑を重くした恐れがある」として1審判決を破棄、審理を差し戻した。

 検察は同年8月、児童買春・児童ポルノ禁止法違反などで池永被告を追起訴したが、差し戻し後の1審判決は16年3月、差し戻し前と同じ懲役22年(求刑・懲役25年)となった。17年1月、東京高裁は一審判決を支持し被告、検察双方の控訴を棄却、どちらも上告しなかったため、懲役22年の刑が確定した。

※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

文=深笛義也

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?