ルクセンブルクのワイン産地、モーゼル川沿岸
ワインの名産地というと、一番に名前が挙がるのがフランス、そして赤ワインだとスペインや南部イタリア、ポルトガル、ギリシャ、白ワインだとドイツや北部イタリア。実はルクセンブルクがワインの名産地だということをご存知の人は、かなりのワイン通でしょう。
ルクセンブルク はフランス、ベルギー、ドイツに囲まれた、神奈川県ほどの小国で、国家君主が「大公(Grand duke)」である、世界で現存する唯一の大公国です。ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語が公用語とされていますが、今回ご紹介するモーゼル川沿いの町はドイツとの国境付近ということもあり、ドイツ語話者の多い地域です。世界で初めて公共交通機関の無料化をした国で、無料でバス、トラム、電車、ケーブルカーに乗ることが可能です。今回ご紹介するモーゼル川沿いの街にも、ルクセンブルク中央駅(Gare Central de Luxembourg)からバスでアクセス可能です。通貨はユーロを使用しており、市場を含むほとんどのお店でカード決済が主流となっています。
日本からルクセンブルクへは、直行便がないため、フランクフルト、ロンドン、イスタンブール、パリ等のハブ空港を経由する必要があります。モーゼル川沿岸の街へは、ルクセンブルク空港から29番のバスで中央駅へ出て、412、413番のバスで簡単にアクセス可能です。
ルクセンブルグワインは、生産量が限られている上に、ルクセンブルク 国内での消費も多いため、国外に輸出されることがなかなかありません。今回は、そんな貴重なルクセンブルクワインの産地を訪れる旅を紹介します。
白ワインは世界屈指、ルクセンブルグのワインナリー
ルクセンブルク国内でワインが生産されているのは、南東部のモーゼル川沿い、RemichやGrevenmacher、Schengenなどの街です。この地域は比較的温暖で、モーゼル川からの照り返しをうまく受ける傾斜がついた地形や、ミネラルをほどよく含んだ土壌が美味しい葡萄を育てるのです。傾斜が強い土地のため、機械を使った収穫は困難で、手作業での収穫がほとんど。
こうした理由から、生産量も限られていて、ルクセンブルク ワインは、近隣のフランス・Alsace地方などのワインに加え、比較的高価になっています。ルクセンブルク の白ワインを試飲、購入するのにオススメな3つのワイナリーをご紹介。
1つ目はBenoit et Claude Viticulteurs。
Remichの丘の頂上に位置するこのワイナリーは、家族経営の小さな醸造場で、土地も20-40年と比較的若めです。ほとんどの葡萄は手積みで収穫され、トラクターによる土壌への影響を最小限にしています。フランスのBordeauxやCotes de Roussillonのワイナリーとパートナーシップを組んでワイン造りの研究をしており、モーゼル川沿いでは珍しくMerlotやSyrahといった赤ブドウの栽培にも取り組んでいます。
このワイナリーのオススメポイントは、何と言ってもRemichを一望できるテラスでの試飲。ワインの箱買いを計画している方は無料で試飲ができますし、そうでなくても、グラス一杯からの購入が可能です。おつまみのチーズプレートやタルトフランベ(薄焼きのクリームソースピザ)も販売しています。フランスのゲーム、ペタンク場もあり、子供含めて楽しめるスポットです。
Benoit et Claude Viticulteurs
住所: 33, um Goldbierg L-5574 Remich
公式サイト:Benoit et Claude Viticulteurs
営業時間:テラスの営業は5月~9月まで/冬季はイベント開催時のみのオープン。毎年時間が変わるため、公式サイトを要確認。
電話番号:+352 621 661 949
2つ目のスポットはDomaine Mathis Bastian。
父娘で経営するこのワイナリーは有機農法で葡萄を栽培しています。ここは、日本人のソムリエ兼輸入販売業社とコラボレーションしており、日本語のウェブサイトもあるのです。このワイナリーは1988年に創立されたルクセンブルクワインのプロモーションをするDomaine et Traditionの創立メンバーです。
このワイナリーのRieslingとPinot Grisワインは、厳しい品質基準をクリアしたワインのみに与えられるDomaine et Traditionのマークを与えられており、長期熟成にも向いています。また、2015、2016年のヴィンテージをブレンドした白ワイン「Prélude nanami」は日本人ソムリエとの共同開発で、日本人の味覚に合った一品に仕上がっています。試飲やワイナリー訪問は、電話で要予約です。
Domaine Mathis Bastian
住所: 3, rue des Eglantiers L-5551 Remich
公式サイト:Domaine Mathis Bastian
営業時間:月曜から金曜日まで 10:00~12:00、13:30~17:00
電話番号;+352 621 28 33 55
3つ目のおすすめはClois Jangli。
このワイナリーは2014年に設立された非常に新しいワイナリーですが、葡萄畑は南南東に面して傾斜が30%以上と、日照を受けて葡萄が熟しやすい位置にあり、有機栽培のみにこだわる、いま注目が高まっているブランドです。また、土壌が石灰質のため、ミネラル感の強いシャープな味わいの白ワインやクレマン(スパークリングワイン)が生まれ、日本食に合わせるにもオススメです。
また、アルコールが飲めない人には、ワイン造りで使われる葡萄を使ったジュースも販売されています。このワイナリーの葡萄ジュースは蜜が結晶化して沈殿するくらい甘味が濃厚で、ぜひ皆さんに試してもらいたい商品です。ワイン畑で試飲ができるのが魅力ですが、残念ながら試飲は期間限定もしくはリクエストベースですので、公式サイトから問い合わせをしてみてください。
Clois Jangli
住所: 90 d Rue de Kehlen L-8295 Keispelt, Luxembourg
公式サイト:Clois Jangli
電話番号:+ 352 621 355 822
メールアドレス:contact@clos-jangli.lu
シャンパンにも負けない味、クレマンの魅力
フランス・シャンパーニュ地方で作られるシャンパンは有名ですが、クレマンというワインはご存知でしょうか?クレマンはシャンパン同様に、瓶の中にイースト菌を入れ2次発酵させて作られたスパークリングワインのことで、味はシャンパンに負けない美味しさで、比較的手頃に手に入るワインです。ルクセンブルク のクレマンも非常に高品質で、100年以上の歴史を持つクレマンワイナリーも存在します。
1921年に創業されたBernard Massardは老舗中の老舗で、年間350万本のワインを生産しています。水曜日から日曜日まで醸造所ツアーと試飲を開催しており、オンラインでの予約が可能です。創業100周年の記念ビンテージも販売しているので、ぜひお試しあれ。
Caves Bernard-Massard S.A.
住所: 22, Route du Vi, L-6794 Grevenmacher, Luxembourg
公式サイト:Caves Bernard-Massard S.A.
入場料:ツアー内容により変動。ショップは入場無料。
営業時間:4~10月のみ営業。毎年営業時間変更の可能性があるので、ワインショップ、ツアー共に公式サイトを要確認
まとめ
今回は、人気急上昇中で日本では手に入りづらい、希少なルクセンブルクワインを楽しむ、モーゼル川沿いのワイナリーを紹介しました。無料の公共交通機関でアクセス可能なので、お酒を飲んだ後の運転なども心配いりません!ワイン通の方も、そうでない方々も、日本ではなかなか手に入らないルクセンブルクワインをぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか?
文・写真・Saori K. Courtois/提供元・たびこふれ
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