粘り強くポジションアップ

8位からスタートした決勝。山内→山内→井口のローテーションで挑む。オープニングラップ。前を走る#45 PONOS FERRARI 296のリル・ワドゥーを交わし7番手でストレートに戻ってくる。目の前はベテランの#96 K-tunes RC F GT3の新田守男/高木真一組。しかも同じダンロップユーザーで、抜くには至難の業となる速さを持つテクニシャン2人だ。

スーパーGT2024 第2戦 富士3時間レース SUBARU BRZ GT300悔いが残るガス欠15位完走
(画像=GW中の開催。多くのファンがスタンドに詰めかけ、延べで9万人近い大観衆だ、『AUTO PROVE』より 引用)

18周目、ここにきて「シフトダウンが悪い」と山内から無線が飛ぶ。ポジションは7位。ピットからはシフトプログラムの変更を伝え、なだめすかしながらの走行になる。がしかし、22周目、先行する#96高木真一を交わすことに成功した。いつもながら山内の鬼気迫る追い上げと集中力、操るテクニックには、応援するものを興奮させ、そして幸せにする。ポジションは6位に上がる。

最初のピットインはフルサービスだ。4本交換と燃料を満タンにしてピットアウト。各チームとも似たようなピットストップ作戦だ。コースに戻った山内は、見た目は16位だが実質10位。トップ2台はまだピットに入っていない状況で、山内より下位のマシンもピットに入っていないため、下位マシンに抜かれた順位に見える。

ニュータイヤを履く山内に期待がかかる。しかし、山内より上位を走行していたチームがコースに戻り始めると、順位どおりに山内の前に戻ってくる。給油時間が短いマシンはリードを広げている状況も作った。

スーパーGT2024 第2戦 富士3時間レース SUBARU BRZ GT300悔いが残るガス欠15位完走
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

想定どおりの展開が・・・

中盤、先行する#7 Studie BMW M4をドライブする荒聖治に接近。バトルになる。最終コーナーで山内がインに入り追い抜くとストレートで抜き返される展開に。しかし山内は攻め続け#7荒聖治の攻略に成功した。

レース開始から2時間。山内のスティントが終了し井口卓人にバトンを渡す。見た目は12位で、実質7位でコースに復帰。コース上には周回遅れがいるものの、井口はひたすら上位を目指し、ニュータイヤで追いかける展開になった。

レース前小澤総監督がイメージした「終盤、タレてきたマシンにフレッシュタイヤで追いかける」という展開になっているのだ。とくに2位を走行する昨年のチャンピオンチーム#52 Green Brave GR Supra GTはブリヂストンユーザーで、2回目のピットインでは無交換でピットアウトしている。その分トラック上のタイムは引き離されているが、ラップタイムでは井口のほうが速い。

残り時間45分になっても先行車との差は縮まらない。タレ始めているマシンはいるが、ラップタイムを見ると1秒以内という僅かな差しかない。ピットストップでは10数秒の差が生じているため、思うような展開に届かないのだ。6位を走る#2 muta Racing GR86 GTには22秒以上の差がある。残り時間を周回数に換算すると、あと20ラップ前後。1周で1秒以上縮めないと6位には上がれない。厳しい状況になってきた。

レース終盤、井口から「ガソリンがない」と無線が飛ぶ。予備タンクを使用し緊急ピットイン。スプラッシュ給油を行ない、コースに戻る。がしかし、再び燃料切れのアラートが点灯、マシンは息継ぎをし始め、セクター3の登り坂で息を止めた。

優勝は#88 JLOC Lamborghini GT3で108周をした。BRZ GT300は106周目の出来事だった。15位完走の扱いではあるものの、再び悔いの残るレースとなってしまった。

レース後小澤総監督は「レースはある程度想定内で展開できいて、タイヤも良い仕事をしてくれているので手応えはありましたが、燃費の計算が狂ったようで、申し訳ありません」とコメントしていた。

次戦は得意な鈴鹿で同じ3時間レース。しかしアクセルの全開時間が富士よりも短いので燃費の悪さが露呈しにくいという。さらに気温が高く、路面温度が高いレースでは実績があり、期待のかかるレースになることは間違いない。コーナリングマシンの性能の高さは今回も証明できている。ポイントは給油時間なのかもしれない。

提供・AUTO PROVE

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