次に日本株投資ですが、5大商社については既に9%の株式保有で各社と9.9%を上限とすると約束しているので買い増しの枠はさほど多くありません。一方、日本への投資に引き続き魅力を感じているとすれば円安で米ドル建ての日本株の価値が非常に低いのが理由の一つだと思います。バフェット氏自身、日本株を高く評価してくれるのはありがたいですが、個人的には嬉しくない話です。理由は私の円安嫌いの理由である日本の資産をハゲタカや鳶がかっさらっていく行為がより激しくなるからです。つまり日本の危機を招くアメリカからの日本投資ブームの火付け役になりかねない話なのです。
そんな中、商社がそろそろ買い増しいっぱいだとすればあと何処を買うかです。日本で元気が良いのはテック関連の製造業なのですが、バフェット好みには見えないのです。個人的にはズバリ金融株ではないかと思います。グローバルな観点、規模、理解のしやすさからすれば3大メガバンク、特に三菱UFJは魅力だと思います。保険業界もありかもしれません。
最後に「今は新規に投資する気になれない」点です。これは国債投資で5%程度のリターンがあればなぜリスクある株式に投資しなければならないのか、という話です。これは私も同感で同社は1-3月期に新規投資を決めた企業はゼロです。ではなぜ、株式市場はそれでも活況なのかといえば投資ファンドはバフェット氏のように現金で持っておくわけにはいかないからです。常に何かを買うことをほぼ強要されているため、市場がまるで呼吸をするように動くのです。しかし、一部の銘柄を除き、多くはこの1年間近くレンジ相場に近いと思います。つまり、突き抜ける銘柄がないのです。
バフェット氏からすれば「無理に投資はしたくない」と思うのでしょう。そのポジションが強くなればなるほど国債などでの所有が増え、バークシャーの魅力は薄れてくると思います。
アメリカの市場でバフェット氏の影響力がさほどなくなったのは現金と同等物を抱えるだけの企業では得るものはないよね、という若手のあっさりとした反応なのでしょう。私も以前から神通力はもうないと申し上げている通りで興味あるのは93歳でこれだけの人心をつかむ人間バフェットの魅力だと思います。氏は世界の投資家殿堂の横綱だけでなく、投資哲学者として長く称えらえると思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月6日の記事より転載させていただきました。
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