効率の良い仕事のやり方=タスク管理さえ身につければ、長時間労働から抜け出すことができる。そう考える人も多いだろう。しかし実は、タスク管理をマスターしても仕事の絶対量を減らさない限り、望む働き方・ライフスタイルは手に入らない。

そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、仕事の絶対量を大胆に減らす思考法を、再構成してお届けします。

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不安がなかったらどう考える?

私はこう自分に問うようになったことで、仕事を大胆に減らすことができるようになった。この思考法は私がここ数年で身につけた中で最も革新的なものだ。仕事のスピードも格段に上がり、人生の指針まで手に入れるにいたった。

この思考を身につけるきっかけとなったのはアラン・コーエンという専門家のコーチングを受けたことによる。コーチングとは、簡単に言うと今後自分がどう行動していくか。プロのライフコーチにリードしてもらいながら自分なりの答えを探し当てていく作業だ。

数年前、私は今のような余裕がなく、これから先の長い人生をどう生きるか途方に暮れていた。そんなとき、世界的なベストセラー作家でありライフコーチとして多くの人を導いてきたアラン・コーエンが数日間来日してコーチングすることを知った。藁をもつかむ思いで申し込んだのだ。

それ以降もアランには何度かコーチングを受けることになる。最初に受講したときの言葉は今でも鮮明に覚えている。「Fear is always lier.」直訳すると「恐怖の感情はいつも嘘つきだ」となる。

アラン曰く、不安になったときに浮かぶ思考を信じてはいけないのだそうだ。その後も私が相談するとアランは決まって「What will Love say?」と返してきた。直訳では「愛ならばなんて言う?」となるわけだが、これはつまるところ「不安がなければどう考える?」となる。

恐怖の感情におしつぶされていなければ。世界に愛が溢れているとしたら。どう考えるだろうか? アランはこうした視点で物事をとらえるように私を導いてくれたのだ。

愛に溢れた世界なんて聞くと、なんだかスピリチュアルで眉唾的な手法に感じるかもしれない。しかしこの「不安がなければ」という思考は、極めて合理的で実践的なものだ。その理由を説明しよう。

たとえば会議に向けて、大量に資料のコピーをしなければならなくなったとしよう。所要時間は30分程度。これを自分でやるか、部下にやってもらうか迷ったとする。

昔の私だったら「部下も忙しいだろうから迷惑かな」とか「単純作業を依頼すると嫌われるかな」という思考で「30分で終わるなら自分でやるか」と考え、コピー機に向かってしまうだろう。しかし今の私なら、迷わず部下に依頼する。それは昔の私とは前提となる考え方が違うからだ。

今の私は人に頼ることが必ずしも相手の迷惑になるとは考えていない。部下に仕事を頼んだことで嫌われるとも思っていない。だから気にせずに依頼することができるのだ。その結果、その30分をより充実した会議にするための時間として活用することができる。