「食料問題」に関するインドネシア人の意識

ChickinがEast Ventures主導のシードラウンドで資金を調達したのは、2022年7月(調達額は非公開)。

この時期は、ウクライナ侵攻の影響が怒涛の勢いでインドネシアへ押し寄せていた頃である。

まず、ウクライナ産のヒマワリ油の供給が滞り、ヨーロッパ諸国全体の食卓に悪影響をもたらした。その代わりとしてインドネシア産パーム油の巨大な需要が発生したが、これがパーム油の価格高騰をもたらした。インドネシアの料理は食用油を使うものが多い。そのため、食用油の価格の推移は国民の関心事である。

食用油と同時に、穀物由来の飼料の価格も跳ね上がる。これは現地に暮らす生活者にとって近い将来起こり得る食料危機を自分事として考える契機ともなり、この話題に関して「Tidak apa-apa(心配ない)」と言えなくなってしまった。

この瞬間から、それまで若者から“遅れた分野”とも見られていた農業・漁業分野にようやく関心の目が向けられたという節もある。こうした機運から勢いが増しているインドネシア発のアグリテックスタートアップは、数年後には世界の食料問題の解決を担う重要なセクターに成長しているかもしれない。

参考・引用元:Chickin

(文・澤田 真一)