首都圏の新築マンションの平均価格は2016年から上昇傾向にあり、2018年では5,592万円だ。一般の会社員には高額で手を出しにくいためか、中古マンションを選ぶ人が増えている。しかし中古マンションは、住宅ローンを組む際に中古ならではの注意すべきポイントがある。
住宅ローンの審査で銀行が重視するポイントは?
銀行が住宅ローンの審査で重視しているポイントは以下の通りだ。
※国土交通省の平成29年度「民間住宅ローンの実態に関する調査」より
- 完済時年齢……97.2%
- 健康状態……95.7%
- 借入時年齢……95.6%
- 担保評価……95.5%
- 年収……93.6%
- 連帯保証……92.8%
勤続年数……92.7 %
銀行は、年収、勤続年数、連帯保証といった債務者の信用力を考慮していくら貸せるか、完済時年齢、借入時年齢、健康状態により何年貸せるか、担保評価では物件にどれだけ担保余力があるかを見ている。
住宅ローンでいくら借りられるかは、個人の信用力と物件の担保評価が重要となる。中古マンションの場合は、新築と比べると築年数が古くなるほど物件の価格は安くなる傾向にあるが、担保評価も厳しくなる。
購入する中古マンションの金額に対して担保評価が低くなると、申込金額よりも減額、融資期間が短くなるなど希望の住宅ローンの融資条件を満たせない場合がある。
中古マンションの担保評価の方法は2つ
銀行などの金融機関が中古マンションの担保評価をする際に使う評価方法で多いのが、原価法と取引事例比較法だ。原価法は41.0%、取引事例比較法は32.0%と合わせて7割を超える(住宅金融支援機構の2018年度「民間住宅ローンの貸出動向調査結果」より)。
原価法は、対象物件を現時点で再調達した場合の原価をもとに、その試算価格を求める方法だ。求められた原価に対して新築からの価値の低下を減額して試算価格を求める。
取引事例比較法は、対象物件に類似した条件の物件の取引事例を多く集め、その中からいくつかの事例をピックアップし、必要に応じて対象物件との立地条件や築年数などの違いを修正し、地域や個別の要因などを含めて比較評価する方法だ。
原価法の場合、築年数が古くなると減額される金額が多くなるため、築年数が古いほど担保評価は低くなる。そのため都心部の立地が良い物件など、築年数が古くても人気があって価格が上昇しているような物件の場合は、原価法を利用する金融機関では評価が出にくい。反対に、直近の取引事例に基づいて行われる取引事例比較法のほうが高い評価が出ることが多い。
さらに、銀行は算出した担保評価に対して独自の掛け目があり、中古マンション場合は担保評価100%に対して平均で78%の評価減される。
対象物件の担保評価は様々な評価方法で算出され、融資希望額に満たない場合は減額されることになる。購入するには、不足分の自己資金を準備するか、配偶者が働いている場合は夫婦でローンを組むなどして対応する必要がある。
住宅ローンの融資額が希望する金額に満たない場合はフラット35の検討も
住宅ローンの審査で減額され、自己資金が用意できない、あるいは配偶者が無職である場合はどうすればいいのか。他の金融機関で再審査する方法もあるが、フラット35の活用を検討するのも一つの手だ。
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利住宅ローンだ。フラット35の21年~35年の最頻金利は年1.29%。民間金融機関の変動金利0.457%~0.975%程度と比較すると金利は高いが、民間金融機関とは審査基準が違う。(※金利は2019年5月現在)
フラット35では、築年数が古くても住宅金融支援機構が定める耐震評価基準に適合していれば融資をしてくれる。建築確認日が昭和56年5月31日以前の、いわゆる旧耐震基準と言われる住宅でも同様だ。
築年数が古い中古マンションを購入する際には、フラット35の耐震評価基準に適合しているかどうか事前に確認しておくと良いだろう。
文・山口智也(宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター)
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