1. 過剰な節約意識

    時々見られるのが「とにかく爪の先に火を灯す勢いで何でも節約」という意見だ。気持ちはわからなくもないし、無駄を省いて適度な節約は確かに効果がある。しかし、それが行き過ぎると逆効果になると思うのだ。

    お金がないということで真っ先に削られるのは、食品の質や教育である。食品はパッと見の外観からはわかりにくく、きれいにパッケージされていたら忘れがちだが、「安かろう悪かろう」という経済のメカニズムから逃れることはできない。

    たとえばスーパーにおいてある豆腐は、安いものだと20円、30円で売られている一方、値段がするものは100円を超える価格だ。パッと見で同じ豆腐に見えるのだが、ものによっては注意が必要だ。安い豆腐は遺伝子組換え大豆、消泡剤や凝固剤など健康を害する危険因子になり得ると主張する専門家もいる。また、食事がビタミンやタンパク質の代わりに、安い炭水化物やトランス脂肪酸、糖質食品ばかりになると栄養バランスが乱れてしまう。健康はすべての資本なので、削ってはいけない。

    そしてさらに見落とされがちは教育ではないだろうか。「スキルアップをしたいけど、お金がもったいないからテキストを買わない」といった行動は将来の芽を摘む行為になる。勉強をしなければ、スキルという付加価値をなくしてしまい、結果としてインフレ負けしてしまう。

    現在、活躍するビジネスマンは順風満帆ばかりではなかったはずだ。中には金融危機や経済不況の逆境の中で自己研鑽に励んだことで力をつけてきた人も存在する。手前味噌ながら自分自身もそうだった。お金がないからこそ、教育費を削ってはいけないのである。

    インフレや円安といった状況に、多くの日本人は慣れていない。数十年以来の出来事にどうすればいいかわからず、場当たり的な対策で乗り切ることを考える人もいるだろう。だが、大きな流れに逆らい続けるやり方は通じない。時代は変わったと認識し、新時代の生存戦略を受け入れる。それが変化に対応するということなのだ。

     

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