「平和を求め、軍拡を許さない女たちの会」の会員たち
議員の挨拶後は、同会の女性たちの演説だ。田中優子氏は、「首相は台湾有事が日本有事であることのように語っています。しかし、日中共同声明では、『中華人民共和国が中国の唯一の合同政府』だという合意をしているのです」と述べ、首相の見識に疑問を投げた。
日中共同声明は1972年に日本側は田中角栄首相、中国側は周恩来首相(いずれも当時)との間に調印された日中国交正常化に関する合意文書だ。
日本側は中華人民共和国を中国唯一の合法政権であることを承認し、中国側は対日賠償請求権を放棄するという内容だ。この合意によって日中戦争から戦後にかけて断絶していた両国の国交が回復すると共に、日本は「一つの中国」の原則を尊重するため、日華平和条約を破棄して中華民国(台湾政府)と断交した。
福田和歌子氏は、「こんな社会で私は子育てしたくありません。コロナ禍で配られたのは10万円のみ。生活が困窮しているのに、軍事費増強に予算を使っている場合じゃない。戦争は『もっとも有害な男らしさの主張』であり、巻き込まれたくない」と述べ、軍事費増強や戦争に反対した。
上野千鶴子氏は、「今の日本のメディアは戦争を煽っている。メディアにぜひ、(同会について)こういった意見があることも報道してほしい。メディアにより世論が創られる」と主張し、「日本がアメリカの支持する政策の言いなりにならないためにどうすればよいか?」という質問に対しては、「世論が繰り返し『NO』といえばよい」と主張。
同会は署名サイト「Change.org」で署名を集め、集会後に署名名簿を自民党含めた各党と連合に提出した。同会は署名の目的について、次のように説明する。
「経済成長が鈍化している日本が、巨額の税金を軍事費に投入することへのしわ寄せは、女性や子ども、性的マイノリティなど社会的弱者に必ず向かいます。私たちは、軍拡にこれほど巨額の税金を投じるのではなく、その税金を少子化や教育、社会的弱者への支援、子どもの未来のための政策に使っていくよう強く求めていきたく、署名を立ち上げました」
また、 同会は「政治が変わらないと何も変わらない。(同会の今後の活動として)各地方から女性議員をどんどん出していく。女性なら誰でもよいのではなく、例えば『夫婦選択的別姓に賛成か反対か』など政策の選択に関して基準を設ける」として、政治にも参画する意向を示した。
「女性主導」という観点からも、同会の今後の活動が注目される。
(文=深月ユリア/ジャーナリスト:外部執筆者)
提供元・Business Journal
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