福井地裁で2度も原発の停止命令を出した樋口英明元裁判官の発言が、また話題になっているので、判決当時(2015年4月15日)の記事を再掲します。

高浜3・4号機(Wikipedia)
関西電力高浜3・4号機の再稼動差し止めを求める仮処分申請で、きのう福井地裁は差し止めを認める命令を出したが、関電はただちに不服申し立てを行なう方針を表明した。昨年12月の申し立てから1度も実質審理をしないで決定を出した樋口英明裁判官は、4月の異動で名古屋家裁に左遷されたので、即時抗告を担当するのは別の裁判官である。
この樋口裁判官は、昨年5月にも史上最大の地震が来たら危ないという荒唐無稽な理由で、大飯3・4号機の再稼動を差し止める判決を出した。史上最大の地震が高浜に来たら、原発どころか福井県が全滅して何万人も死亡するだろう。それが「人格権の侵害」だというなら、福井地裁もただちに職員が全員退去すべきだ。
今回の仮処分決定は、さらにお笑いだ。ロイターによれば、彼は原子力規制委員会の新規制基準の基準地震動について「緩やかすぎて、これに適合しても原発の安全性は確保されない」と断定して、規制基準を否定した。これは原子炉等規制法違反である。
「基準地震動」の意味を理解していない基準地震動は各地域の地質調査をもとにして、公聴会や事業者のヒアリングが行なわれた上で委員会が決定する。これが「緩やかすぎる」というなら、それを示す地質データを出して異議申し立てを行なうことは可能だが、樋口裁判長は何も出していない。
彼は「原子炉の基準地震動は住宅より小さい」というが、それは当たり前である。原子炉は地中の岩盤の中に直接、建設されるので、振動は地上の住宅よりはるかに小さい。基準地震動が住宅の振動より小さいのは当然である。

図3 一般の建物と原子力発電所の地震の揺れの構造的違い出典:電気事業連合会