ドライバーにとって、自分が事故に遭う可能性は考えたくないものです。人身事故や自損事故などさまざまな形が考えられますが、普段なかなか意識されにくいのが動物との衝突事故でしょう。
動物を轢いてしまうと、命を傷つけてしまった罪悪感のほか、衝突による損傷箇所の修理費など現実的なダメージが生じることも少なくありません。
今回はドライバーの方々に、「動物との事故で生じた修理額」について話を聞きました。
シカとの衝突、100万円に上るケースも

車との衝突事故がとくに多い動物として、シカが挙げられます。北海道警察の発表によれば、2023年中に起きた道内のエゾシカ関連事故は5,287件あり、そのうち死亡事故2件、人身事故5件と深刻な被害が生じています。
北海道以外にも、富士山麓や奈良公園周辺など、車両とシカの衝突事故が頻発している箇所は少なくありません。そうしたエリアにおいては、複数回シカとの事故を経験しているドライバーもいるようです。
「仕事の関係で夜間に運転することが多く、これまでに2度、シカを轢いてしまったことがあります。1度目は正面に飛び出してきたのを減速しきれずぶつかり、フロントバンパーやラジエーターなどが破損。修理費用は40万円ほどだったと思います。シカの方は弾き飛ばされたのですが、むくりと立ち上がってそのままどこかに行ってしまいました。
2度目はこちらが通り過ぎざまに道路脇から飛び出してきて、助手席側の前方にぶつかってきたんです。ものすごい音がした瞬間エアバッグが開き、ハンドルがまともに効かなくなりました。外装と足まわりにかなりのダメージがあったようで、100万円近い見積りが出て、車の時価額を超えていたので全損扱いに。結局廃車にして買い替えることになりました。
シカは茂みの方に吹っ飛んでいき、車外に出て少し探したのですが、姿は見つかりませんでした。なんというか2回とも、見た目に反してものすごく硬い感触がして、コンクリートの壁にでもぶつかったのかという衝撃がありました」(50代男性)
車との衝突事故が多く報告されている動物のなかでも、シカは車両に対して大きなダメージを与えることで知られています。
「一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部」の発表によれば、2022年の10月と11月中にエゾシカとの衝突事故被害に対して支払われた保険金の平均額は55.8万円。この数字から、外装部分のみならず、エンジンルーム内など機関面にも影響を及ぼすケースが多いと見られます。
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一度避けても油断は禁物
一度避けても油断は禁物

上述のように、北海道をはじめとするエリアではシカとの衝突事故が日常的に起きています。なかには複数で移動しているケースもあるようで、十分な注意が必要です。
「夜中に山道を運転していると、前方に暗い影が見えました。減速すると2匹のシカが横断中だったので、そのまま止まって渡りきるのを確認し、また発進したんです。その瞬間、また別の1匹がいきなり影から飛び出してきて……。ブレーキを踏む間もなく、運転席側のバンパーに衝突しました。
ベキッと嫌な音がしましたが、発進直後だったからか、シカはそのまま何事もなかったかのように先の2匹を追っていきましたね。
明るくなってから車の状態を確認すると、バンパーが少し外れたようになり、ひしゃげた部分にヒビが入っていました。板金屋さんに見てもらったところ、交換までは必要ないとのことで、5万円ほどで直してくれました」(20代男性)
被害額としては比較的少額で済んだとはいえ、一度避けたと思ったところに飛び出されたショックは大きかったと考えられます。
動物を原因とする事故にはさまざまな形が考えられ、直接衝突するケースのほかにも、動物を回避してガードレールなどにぶつかってしまったり、あるいは対向車が撥ねた動物がこちらに飛んできたりと、注意していてもなかなか対処が難しいケースもあるようです。
轢いてしまった動物の亡骸、どうすればいい?

動物との衝突事故は、都市部ではあまり馴染みのない話かもしれません。しかし住宅街などでも、小動物がいきなり飛び出してくる可能性はゼロではないでしょう。
「夜中にタヌキを轢いたことがあります。林の方からいきなり飛び出してきて、気づいた瞬間にはもうバキッという衝突音がしていました。感触から明らかに生き物を轢いたとわかり、『やってしまった』という思いでした。
路上に出ると、タヌキはまったく動かなくなっており、罪悪感でいっぱいになりました。どうしていいかわからず警察に連絡し、『死骸が交通の妨げになるようでしたら、なるべく道路の端の方に移動しておいてください』といわれ、途方に暮れてしまいました。
素手で触ってはいけないと思ったので、予備のストッキングを使ってどうにか道の端まで移動させて……。感触はもう、思い出したくありません。
車の方のバンパーは割れて、フォグランプも損傷しており、修理には10万円弱かかりました」(40代女性)
動物との衝突事故であっても、ドライバーは警察に報告する義務を負います。加えて、動物が死亡してしまい、道路上などで交通の妨げとなっている場合には、他の交通主体が安全に通行できるよう死骸を路肩などに移動させることが必要です。
動物が生きており負傷している場合には、可能であれば保護したうえで動物病院などに運ぶことが望ましいとされています。いずれの場合にも、衛生のため動物に素手で触ることは避け、手袋やタオル、ビニールシートなどを使って処置することが望ましいといえます。
対処の方法がわからない場合には、通報の際に状況を報告し、警察の指示を仰ぐとよいでしょう。
またロードキルをそもそも避けるためにも、知らない道を通る際にはとくに、「飛び出し注意」の看板を見逃さないようにしましょう。暗い山道などでは動物の飛び出しに気づくのが遅れる傾向にありますので、空いている道路でもスピードを控え、周囲への注意を欠かさないことが大切です。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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