経団連会長就任を見据えた動き
自工会会長の交代時期についても違和感がある。役員の任期は24年5月までだが、今回、任期途中の1月に交代するのは、豊田氏の経団連会長就任を見据えたものとの声がある。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)の任期は24年5月まで。経団連の次期会長は副会長から選ばれる。このため、今年4月に豊田氏がトヨタの社長を退任して会長になった際、経団連の副会長に就き、24年6月に次期会長に就くとの観測が広がったが、豊田氏は経団連の副会長には就かなかった。
しかし、豊田氏が12月末に自工会会長を退任するのは、副会長を経ずに異例のかたちで24年5月に経団連会長に就くための準備と見る向きが強い。モビリティ産業の競争力強化を図るため、豊田氏が主導し22年10月に設立した経団連モビリティ委員会は、十倉会長に加え、自工会会長の豊田氏、日本自動車部品工業会の有馬浩二会長(デンソー会長)の3人が共同の委員長だ。豊田氏は自工会会長として委員長を務めているはずだが、来年1月に自工会会長が片山氏に交代した後も豊田氏が委員長を継続する。「副会長からの昇格ではなく、経団連モビリティ委員会の委員長を理由に経団連会長に就くのでは」と分析する業界関係者もいる。
豊田氏が経団連副会長に就かないのは「電動車の電磁鋼板の特許に関してトヨタを提訴した日本製鉄の橋本英二氏が副会長にいて同列になりたくないため」(業界紙記者)との声もある。特許紛争も11月に日本製鉄が訴えを放棄して終了するなど、豊田氏の経団連会長に就く環境は整いつつあるようにも見える。ただ、トヨタと豊田氏が会員の親睦や互助が基本の業界団体を私物化して、思惑通りに利用する姿勢を批判する声があるのも事実だ。
(文=桜井遼/ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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