「一人ひとりの責任感が強い」
第17節広島レジーナ戦終了後、栗島は筆者の取材に応じ、レッズレディースの強さの根源について語ってくれた。
ー4月25日にチームトレーニング(全体練習)を拝見しました。楽しむときと気持ちを引き締めるべき場面のメリハリがありましたね。また、チーム全体を見渡したときに、気持ちの緩みが全く見られない。これが私の感想ですが、普段チームを俯瞰している栗島選手の実感はいかがですか。
「このチームの良さは明るく元気なところで、一人ひとりの責任感が強い。しっかりやるべきところでスイッチを入れて、(気持ちを)切り替えられる選手が多いですね。なので、キャプテンの柴田華絵選手や私が(チーム全体に向け)改めて言うことはほとんどないです。試合前に監督や正木裕史コーチが喝を入れてくれるときもありますけど、基本的にはみんな責任感が強いです」
ーこれは私の推測ですが、チーム内に生じ始めた僅かな違和感をも見逃さない雰囲気というのを、今のレッズレディースから感じます。栗島選手はどのように感じていらっしゃいますか。
「今は(監督・コーチからの)指示待ちではないですね。ピッチ内で選手が(その場の状況を)感じ、修正していく。各選手これができているからこそ、連勝に繋がっているのかなと思います」
際立つ栗島の主体性
筆者がレッズレディースの取材を重ねたなかで感じたのは、各選手の修正力や主体性の高さだ。
3月3日のWEリーグ第8節INAC神戸戦は、栗島の修正力や主体性が発揮された試合のひとつ。基本布陣[4-2-3-1]の2ボランチの一角として先発した同選手は、センターバック石川璃音と右サイドバック遠藤の間へ降り、適宜ボールを受け取る。これによりWEリーグ屈指の快足MF遠藤が高い位置をとりやすくなり、レッズレディースの右サイド攻撃が活性化されただけでなく、前半12分にはこの立ち位置をとった栗島を起点とするパスワークから同点ゴールが生まれた(得点者は清家、最終スコア1-1)。
「戦略のひとつとして、ボランチが最終ラインへ降り、(これと同時に)サイドバックが高い位置をとるというのは採り入れています。栗島が相手の状況をよく見て、戦略的なポジションをとってくれていますね。この試合で(ベンチから)特にそういう指示はしていません」。これはINAC神戸戦終了後の会見における楠瀬監督のコメント。ベンチからの指示が無くても、戦略的な立ち位置を率先してとれる。筆者が栗島の主体性の高さに気づいたのは、このコメントを耳にしたときだった。