電動式リトラクタブルハードトップを備えたハイパフォーマンスハイブリッド(HPH)モデルの「アルトゥーラ スパイダー」が日本デビュー。パワー、パフォーマンス、ドライバーとの一体感を大幅にアップグレードしたうえで、五感を刺激するオープントップドライビングの楽しさを融合。クーペモデルも同様の改良を実施

 マクラーレン・オートモーティブ アジアは2024年4月13日、ハイパフォーマンスハイブリッドモデル「アルトゥーラ(Arture)」のオープントップモデルとなる「アルトゥーラ スパイダー(Artura Spider)」を、新拠点となるマクラーレン横浜にて日本初公開した。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲マクラーレン・アルトゥーラ スパイダーが日本初公開。2025年モデルに指定され、現在日本での注文受付を実施中。車両価格は3650万円に設定。写真のボディカラーはタンザナイトブルー、『CAR and DRIVER』より引用)

 ハイパフォーマンスハイブリッド(HPH)を謳うアルトゥーラは、刺激的なパフォーマンスに高度なドライビングダイナミクス、そしてEVモードでの走行が可能な環境性能を高次元で融合させた新進のスポーツカーとして2021年にデビュー。それから3年あまりを経た今年、新バージョンとしてオープントップモデルを設定し、さらに既存のクーペモデルと合わせてパワー、パフォーマンス、ドライバーとの一体感を大幅にアップグレードした。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲ルーフ機構には新設計の一体型電動開閉式のリトラクタブルハードトップを採用。オープンおよびクローズに要する時間は11秒あまりで、50km/hまでの速度域であれば走行中にでも開閉できる。ボディサイズは全長4539×全幅1913×全高1193mm/ホイールベース2640mmと、クーペとほぼ同寸に設定、『CAR and DRIVER』より引用)

 まずはオープントップの概要から紹介していこう。ルーフ機構には新設計の一体型電動開閉式リトラクタブルハードトップを採用。オープンおよびクローズに要する時間は11秒あまりで、50km/hまでの速度域であれば走行中にでも開閉できる。また、走行状況やドライバーの好みに即してルーフの透明度が変えられるエレクトロクロミックルーフパネルをオプションで用意した。一方、オープン化に伴ってコクピット回りを入念に強化するとともに重量増を最小限に抑制。ドアはクーペと同様に上方に開くシザーズタイプ(ディヘドラルドアと呼称)を配する。また、リアパネルには4分割したダクトパネルを配備し、空気熱効率を最適化した。ボディサイズは全長4539×全幅1913×全高1193mm/ホイールベース2640mmと、クーペとほぼ同寸に設定。車重はクーペ比で65kg増の1457kg(乾燥重量。DIN車両重量で1560kg)に抑えている。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲リアパネルには4分割したダクトパネルを配備し、空気熱効率を最適化する、『CAR and DRIVER』より引用)

 ミッドシップ配置のパワートレインには、改良を図ったM630型2993cc・V型6気筒DOHCツインターボエンジン(最高出力605ps/7500rpm、最大トルク585Nm/2250~7000rpm)と電動モーター(最高出力70kW、最大トルク225Nm)、リチウムイオンバッテリー(総電力量7.4kWh)を組み合わせたシステム総出力700ps/720Nmを発生するハイブリッドシステムを搭載して後輪を駆動。トランスミッションには、従来よりキャリブレーション変更と新たなプレフィル機能により変速スピードを25%ほど速めたツインクラッチの8速SSGと、熟成を果たした電子制御ディファレンシャルを組み合わせる。パワートレインマウントの強化も実施し、ダイナミクスのアジリティと正確性をいっそう向上。エグゾーストが奏でるクレッシェンドサウンドも再チューニングした。性能面では、0→100km/h加速3.0秒、最高速度330km/hを実現。また、モーターのみの航続距離は欧州WLTPモードで33kmを成し遂げる。充電に関しては、一般的なEVSEケーブルを使用した際に約2.5時間で80%の充電可能だ。一方、走行モードとしては電気のみを使用するEモードのほか、エンジンとモーターを走行状況に応じて最適制御するComfortモード、低速域のレスポンスと加速の向上のために電力をより積極的に活用(トルク・インフィルと呼称)するSportモード、サーキット走行などに向けたTrackモードという4種類を設定している。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲パワートレインには従来から改良を図ったM630型2993cc・V型6気筒DOHCツインターボエンジン(605ps/585Nm)と電動モーター(70kW/225Nm)を組み合わせたシステム総出力700ps/720Nmを発生するハイブリッドシステムを搭載。エンジンマウントのアップデートも実施する、『CAR and DRIVER』より引用)
マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲エグゾーストが奏でるクレッシェンドサウンドを再チューニング。モーターのみの航続距離は欧州WLTPモードで33kmを実現、『CAR and DRIVER』より引用)

 シャシー面に関しては、前デュアルウィッシュボーン式/後アッパーウィッシュボーン+ロワマルチリンク式で構成し、反応速度を従来より最大90%アップさせた専用セッティングのプロアクティブダンピングコントロール(PDC)を装備。足もとには前8.5J×19/後10.5J×20アルミホイールと前235/35ZR19/後295/35ZR20サイズのタイヤを装着する。一方、制動機構にはカーボンセラミックディスクブレーキ(ディスク径は前390mm/後380mm)+鍛造アルミニウム製キャリパー(前6ピストン/後4ピストン)を組み込んだうえで、新ブレーキ冷却ダクトを配して熱管理を向上させた。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲足もとには前8.5J×19/後10.5J×20アルミホイールと前235/35ZR19/後295/35ZR20サイズのタイヤを装着、『CAR and DRIVER』より引用)

 内包するインテリアは、クーペと同様にドライバーを中心とした、ステアリングから手を離さずに主要コントロールの操作が可能なレイアウトで構成する。メーターナセルやセレクターはステアリングコラムと組み合わせて配置し、コラムと連動した調整が可能。また、操作スイッチ類はメーターナセル周囲とコラム部に配し、ステアリング自体は操舵に集中するためのシンプルなデザインで仕立てた。8インチHDタッチスクリーンを使うインフォテインメントシステムのアップデートも図り、Apple CarPlayをサポートするスマートフォンミラーリング機能を標準で装備。対応するモバイルデバイスで使えるワイヤレス充電器もオプションで用意する。一方、シートについてはパワーアジャスタブル機構付コンフォートシートを標準で、クラブスポーツシートをオプションで設定した。

 先進安全運転支援システム(ADAS)の拡充も注目点。ロードサインレコグニションやレーンデパーチャーウォーニングなどを標準装備するとともに、ブラインドスポットモニタリングとクロストラフィックディテクションを新たに追加設定している。

マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲オープン化に伴ってコクピット回りを入念に強化。HDタッチスクリーンを使うインフォテインメントシステムのアップデートも図り、Apple CarPlayをサポートするスマートフォンミラーリング機能を標準で装備する、『CAR and DRIVER』より引用)
マクラーレンのプラグインハイブリッド車「アルトゥーラ」のオープントップモデルが日本初公開
(画像=▲シートについてはパワーアジャスタブル機構付コンフォートシートを標準で、クラブスポーツシートをオプションで採用する、『CAR and DRIVER』より引用)

 なお、アルトゥーラ スパイダーに施した機構面や装備面のアップデートは、クーペモデルのアルトゥーラにも適用。また、改良版アルトゥーラおよびアルトゥーラ スパイダーは2025年モデルに指定され、現在日本での注文受付を実施している。車両価格はアルトゥーラが3300万円、アルトゥーラ スパイダーが3650万円に設定。デリバリーは本年度第4四半期を予定している。

文・大貫直次郎/提供元・CAR and DRIVER

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