利き腕決定において遺伝子の影響力は「やや弱い」

被験者を集めて右利きや左利きの人に特有の遺伝子的特徴を調べた研究が行われましたが、サンプルの母数が1万人未満では、全く発見することができませんでした。

血液型を決める遺伝子が数百人程度のサンプル数で発見できることと比較すると、大きな違いと言えるでしょう。

そこで以降の研究ではサンプル数を40万件、170万件と大幅に拡大することになりました。

するとようやく、左利きに関連する遺伝子が40個以上発見されました。

膨大なサンプル数を必要とした背景には、左利き遺伝子の影響力の弱さと要因が40個以上に別れていたことにありました。

ここで言う遺伝率あるいは影響度は、ある特性があるときに遺伝子が特性が出現するのにかかわっている度合いを指す
ここで言う遺伝率あるいは影響度は、ある特性があるときに遺伝子が特性が出現するのにかかわっている度合いを指す / Credit:川勝康弘

ABO血液型ではA型の遺伝子を持っているとほぼ確実にA型かAB型になります。

これは遺伝子が血液型に与える影響力がほぼ100%と極めて高いからです。

(※音楽的才能にかかわる遺伝子の影響力は90%、IQ(知能指数)は50%前後となっています)

しかし左利きに関連する遺伝子の影響度はそれよりもかなり低くなっています。

たとえば一卵性双生児が両方とも左利きである場合、そうなってしまったことに対する遺伝子の役割が占める割合(影響力)は25%となります。

あえて簡単に言えば、兄が左利きである4組の一卵性双生児のうち、弟が左利きになるのは1組だけとなる計算になります。

そのため一卵性双生児の両方が同じ左利き遺伝子を持っていても、どちらかが右利きであるということがおおいにあり得ます。

残る75%は子宮内部での化学物質の局所的な濃度変化などランダムなイベントによると考えられています。

しかし25%という数値は決して軽いものではありません。

一卵性双生児と同じような実験を見知らぬ2人で行えばわかります。

たとえば最初に左利きの人を用意して、次にランダムに選んだ2番目の人も左利きである確率は、10%(人類の左手の割合と同じ)に過ぎないからです。

あるいは「生涯に渡るギャンブル成績の25%が遺伝子によって影響を受ける」という世界があるならば、収入の差はほぼ遺伝子によって支配されるでしょう。

まとめと、左利き遺伝子の影響力は血液型や音楽的才能、IQの遺伝子ほどではないものの、人間を有意に左利きにする力を持っていると言えます。

そうなると気になるのが、発見された左利き遺伝子(40個以上)の内情です。

いったいどんな遺伝子に変化があると、最終的に左利きという特質が得られるのでしょうか?