日本周辺国の極超音速弾道ミサイル兵器開発と軍備増強

周知のとおり、中国、北朝鮮、ロシアの日本周辺国は、いずれも核保有国であり、核・ミサイル開発や、極超音速弾道ミサイル兵器の開発・実験・実戦配備を着々と進め、軍備の増強拡大を図っている。中国、ロシアのみならず、北朝鮮も最近「マッハ5」ないし「マッハ10」とみられる極超音速弾道ミサイルを日本海に向けて相次いで発射した。

このように、日本周辺国のミサイル兵器技術開発等が急速に進歩し、軍事的脅威が格段に増大したにもかかわらず、日本は戦後70年有余、今なお、いわゆる「平和憲法」に基づく「専守防衛」のイデオロギーによって、政府も、与野党も、マスコミも、国民も自縄自縛の状態にある。

そのため、「敵基地攻撃能力」(「反撃能力」)をタブー視して認めず、相手国からの弾道ミサイル攻撃に対する日本の安全保障は、もっぱらイージス艦による迎撃とペトリオットPAC-3による迎撃という「ミサイル防衛」のみに依存している状況である。

「ミサイル防衛」では迎撃困難な極超音速弾道ミサイル攻撃

しかし、中国、ロシア、北朝鮮が急速に開発し実戦配備する極超音速弾道ミサイル兵器は、極超音速、変則軌道、多弾頭、飽和攻撃を含め、「ミサイル防衛」による迎撃能力を無力化しつつあり、日本が配備する現行の「ミサイル防衛」では、もはや迎撃は不可能又は著しく困難とみられる。

そのため、危機感を持った岸田首相は、「極超音速兵器をはじめ、弾道ミサイル兵器等の技術開発が急速に進歩した以上は、国民の命を守るため、敵基地攻撃能力の保有を含め、あらゆる選択肢を排除せずに検討し、必要な防衛力を強化しなければならない」とたびたび言及している。日本国の存立と独立、日本国民の生命と財産に全責任を負う首相として、きわめて当然の発言と言えよう。