■渋谷の喧騒の中に佇む地中海然としたオアシス
BARTENDER
鈴木 健司さん(バーテンダー歴30年)
白を基調にした内装に、大理石の長いバーカウンター。橙色の灯りが灯る店内は、温かく柔らかな光に包まれている。
「エーゲ海の風」をイメージしたという渋谷の「アドニス」には、道玄坂の喧騒を忘れさせるような穏やかな時間が流れる。
学生時代のアルバイトを機にこの世界に入ったという経営者の鈴木健司さんは、バーテンダー歴30年。
「葉山ホテル音羽ノ森」や横浜のバー「グローリー」でバーテンダーとして働き、平成15年(2003)にこの「アドニス」を開店させた。現在は当店を含め、渋谷でバーを3店舗を経営している。
NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構の理事を務めるなど、バー文化の発展にも尽力する鈴木さんは「最近は海外からのお客さまや、若いお客さまも増えています。間口を広くし、敷居を下げ、幅広い層のお客さまに愉しんでいただきたいと思っています」と話す。
カバーチャージがなく、メニューにはしっかり価格を表示。また、カウンター席だけでなく、ゆったりとしたテーブル席が用意されていることからも、鈴木さんの言葉に頷ける。
「やはり先人のつくったシンプルな定番レシピがお勧めです。とくに冬場は甘みのあるスパイシー系カクテルを選ぶと、穏やかな気持ちになります」と鈴木さんが差し出してくれたのはオールドパル。
バーボンとカンパリ、スイートベルモットでつくる定番のショートドリンクだが、この店の一杯は甘さと苦味のバランスが絶妙だ。
こうしたスタンダードカクテルに加え、素材の特徴を生かしたオリジナルカクテルの豊富さも「アドニス」の魅力だ。
「カクテルコンペティションの優勝経験者であるスタッフ全員がアイデアを出し合い、スタンダードカクテルを基軸に季節のフルーツや野菜、ハーブやスパイスをアレンジして提供しています」
「アドニス」と同じビルの一階には、鈴木さんが2023年4月にオープンした「オールドパル」がある。
こちらは、重厚な内装に囲まれながらスタンダードカクテル、モルトウイスキーが愉しめるバー。気分やシーンに合わせ、「アドニス」とともに渋谷の隠れ家として使いたい。
■冬の一杯
オールドパル (1800円)
「古い仲間」という意味の「オールドパル」は、バーボン、スイートベルモット、カンパリを使ったショートドリンク。「甘みとビター感のバランスを愉しんでほしいです」と鈴木さんは話す。
BAR AdoniS
東京都渋谷区道玄坂2-23-13 渋谷DELITOWER9F
TEL:03-5784-5868
営業時間:18:00~翌1:00
チャージ:なし 席数:19席
定休日:不定休
アクセス:JR「渋谷駅」より徒歩6分
文/田端広英 撮影/米屋こうじ
提供元・男の隠れ家デジタル
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