修理部品や用品を企画・販売するトヨタモビリティパーツと、アナリティクスを用いたデータインフォームド事業を展開するギックスは、エンジニアの作業負荷削減に向けて「AI整備見積りシステム」を共同開発し、2024年3月1日(金)からトヨタモビリティ新大阪に提供を開始したと発表した。

トヨタモビリティパーツとギックス、エンジニアの作業負荷削減に向けて【AI整備見積りシステム】を共同提供開始
(画像=▲トヨタモビリティパーツとギックス、「AI整備見積りシステム」を共同提供開始,『CAR and DRIVER』より 引用)

 今回共同開発された「AI整備見積りシステム」とは、自動車ディーラー・自動車整備工場向けに提供する、「AIによるクルマの部品交換・整備予測を支援するシステム」だ。車両情報をシステムに入力するだけで、AIが約80項目の整備内容を診断し整備の必要有無について推奨度を算出した「AI診断書」を作成する。

 「AI診断書」により、サービススタッフは入庫前段階の顧客に対し、データに裏付けられた整備内容の提案・見積もりが可能となるほか、入庫後の整備作業においてもAIの診断結果をもとに作業計画の改善を図ることで、エンジニアの作業負荷削減を実現することができるとしている。

トヨタモビリティパーツとギックス、エンジニアの作業負荷削減に向けて【AI整備見積りシステム】を共同提供開始
(画像=▲「AI診断書」例,『CAR and DRIVER』より 引用)

 開発背景として、自動車整備業では、ハイブリッド車や電気自動車、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全技術を搭載した車両の普及により、自動車整備の高度化への対応も求められる一方、全職種の有効求人倍率1.05倍(令和3年)に対し、自動車整備業の有効求人倍率は4.55倍(令和3年)であり、全国的に上昇傾向だ。現在整備業界の人材不足が大きな課題となっている。

 このような状況下、トヨタモビリティパーツの大阪支社は、データに判断をゆだねるのではなく、人間の判断にデータを加えることで判断業務をアップグレードさせる「データインフォームド」の思考を提唱するギックスをデータ基盤・AI開発のパートナーに開発を2020年にスタートした。

 また、トヨタ販売店システムに精通したネクステイジ、エコドライブメッセージサービスを展開するアスア、トヨタモビリティ新大阪の協力も仰いだ。

トヨタモビリティパーツとギックス、エンジニアの作業負荷削減に向けて【AI整備見積りシステム】を共同提供開始
(画像=▲自動車整備要員の有効求人倍率は、全職種平均1.05倍に対して4.55倍まで上昇しており、整備業界の人材不足が大きな課題となっている,『CAR and DRIVER』より 引用)

 安全性を最優先としながら作業効率を上げるシステムを開発するため、約4年をかけて、約21万台・約135万の点検における車種、年式、走行距離などの車両情報や整備履歴のデータをAIで解析し、実店舗での実証実験を繰り返した。

 その結果、現場で活用可能な予測モデルを備えたAIエンジンをトヨタモビリティパーツとギックスで共同開発※2、AI整備見積システムが完成したことから、今回のサービス提供に至った。

 トヨタモビリティ新大阪株式会社では2024年3月1日より順次導入し、2024年6月からの本格稼働を目指すとしている。

※1 出典:国土交通省 【自動車整備の高度化に対応する人材確保の対策「中間とりまとめ」の公表】令和5年3月,P.2)
※2 トヨタモビリティパーツとギックスによる共同特許出願中

提供元・CAR and DRIVER

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