地球に優しい電欠知らずの電動車、PHEVの魅力とは何か
PHEVはプラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークルの略。つまり、複数の動力源を備え、外部電源による充電が可能な電気自動車を意味する。一般的に「複数の動力源」とは内燃エンジンと電気モーターの組み合わせを指すが、内燃エンジンの代わりに燃料電池を搭載した例も存在する。
アウディが2015年のロサンゼルス・ショーで発表したA7スポーツバックh-tronコンセプトやメルセデス・ベンツが2019年に発売したGLC F-CELLがこれに該当する。だがいずれも現在は入手できないので、ここでは内燃エンジンと電気モーターを組み合わせたPHEVについて説明することにしよう。
PHEVは、外部電源によって充電した電力で走っているときはCO₂を排出しない。したがって地球温暖化を防止するのに役立つとされる。また、高圧バッテリーを搭載しているので、自動車から家庭に電力を供給するV2Hなど、電力源としても活用できる。一方、BEVで弱点とされる航続距離の短さにしても、内燃エンジンを搭載したPHEVであれば安心。内燃エンジンで走行したり、発電して電気モーターを駆動することができるので、燃料さえあれば充電することなく走り続けられる。さらに内燃エンジンで車輪を直接、駆動できるタイプであれば、内燃エンジンで電気モーターの駆動力を増強できる。すなわち力強くパワフルな点もPHEVのメリットになる。
PHEVにはマルチフューエル・ビークルとしての価値も存在する。マルチフューエル・ビークルとは、複数のエネルギー源を利用できる自動車のこと。ここまで述べてきたPHEVは、外部電力とガソリン(もしくは軽油)をエネルギー源として利用できるので、立派なマルチフューエル・ビークルといえる。
現在、日本では電力の価格がガソリンや軽油に比べて相対的に安いことから、PHEVはBEVとして用いたほうが経済的とされるが、もしも両者の価格が逆転すれば、内燃エンジンで走ったほうが経済的という事態も考えられる。マルチフューエルのメリットはこれだけではない。大げさにいえばエネルギー安全保障にも関係する。
たとえば、万一原油の輸入が止まっても、再生可能エネルギーなどで十分な電力が供給できれば、PHEVは電気の力だけでも走り続けられる。これとは反対に、地震などで停電した場合、通常のBEVは走行不能になるが、PHEVであれば燃料がある限り走り続けられる。その意味でPHEVはエネルギー源のリスクヘッジともいえるだろう。
注目PHEVモデル・ガイド
レクサスRX
EV走行距離:86km/HV時燃費:18.8km/リッター
450h+バージョンL/価格:THS 872万円。RXはレクサスのグローバルでの主力。2.5リッター直4+2モーター。4890×1920×1700mm/車重2160kg。補助金55万円
レクサスNX
EV走行距離:87km/HV時燃費:19.6km/リッター
450h+バージョンL/価格:THS 729万5000円。NXは使い勝手に優れたミドルクラス。2.5リッター直4+2モーター。4660×1865×1660mm/車重2020kg。補助金55万円