年間10〜15台のみの販売だがそのクオリティは超一級品!
ABODAという名のユニークなガレージが都内に誕生した。
大きな枠組みで言えばレストモッドのブランドだが、取り扱うのはメルセデスベンツのクラシックな190SL(R121)と280SL(W113)の2車種だけ。
ドイツにあるメルセデスベンツのビンテージカーをレストモッドするビルダーと提携しており、顧客の希望に沿うカスタムを施し日本へ輸入するというスキームで、それを販売するという形態なのだ。
というわけで、この2台を美しく現代に蘇らせるという点では、かなりこだわりを持った仕事をしてくれるらしい。
いちばん手っ取り早いのは展示されているクルマを見ていただくことだが、とにかく新車と見紛うほど美しい仕上がり。いや、ペイントやレザーのクォリティなどは、ひょっとすると新車時よりもいいじゃないかと思えるほど完成度は高い。もちろん、エンジンルームの内側もピッカピカで、必要に応じてパーツを新品に交換しているそうだ。
「そんな昔のクルマの新品パーツが、いまさら手に入るのか?」と疑問を抱くかもしれないが、これが専門家の手にかかればほぼすべて見つかるそうで、ABODA GARAGEで販売される車両はほぼ90%のパーツが新品と置き換えられているという。
しかも、納車前にはテスト走行もしっかりと実施される模様。したがって品質にはかなりの自信があるらしく、この種のクルマには珍しい2年間の保証が付帯するそうだ。
興味深いのは、用意された内外装のカラーが豊富なことで、190SLと280SLのボディカラーでいえば、ソリッドが31色、メタリックも16色が揃っているほか、ソフトトップは10色、インテリアのレザーも16色のなかから選べる。しかも、どのカラーも個性豊かでオシャレな色合いばかり。目移りすること請け合いだ。
ここまででも相当にこだわりの強いレストアショップという感じだが、本当に面白いのはこの先。実は、どちらもオプションでエアコンやパワステ、ディスクブレーキ、ETC、(オリジナルにない)助手席側サイドミラーやシートベルトを装着できるというのである。つまり、ただ飾っておくだけでなく、日常遣いできるクルマとしてレストモッドされているのである。
どうして、このようなガレージが誕生したのか?
その理由は、ABODA GARAGEのオーナーが、インテリア用品を幅広く取り扱うFrancfranの創業者である高島郁夫氏と聞けば、なんとなく想像がつくかもしれない。
そうした、身の回りの品をオシャレなもので揃えたいと思う人が選びたくなるクルマを提供するというのが、ABODA GARAGEのコンセプトであると思っていただければ間違いないだろう。
ちなみに、高島氏はメルセデスベンツ300SL(W198)の大ファンだそうだが、さすがに300SLは希少性が高いうえにメカニズム的にも複雑なので、「毎日使えるビンテージカー」として販売するには無理がある。そこで選ばれたのが、300SLのデザインを受け継いだ190SLであり、その発展形である280SLだったというわけだ。
なお、レストモッドは入念に行われるため、当面は年間10台程度を販売する予定とか。ちなみに価格はいずれもユーロ建てで、190SLが32万ユーロ(約5200万円)、280SLは35万5000ユーロ(約5700万円)とのことだが、オープンからの数日間で複数のオーダーや問い合わせがあった模様。どうやら、「毎日をオシャレに過ごしたいけれど、そんなライフスタイルにぴったりのクルマがなかなか見つからない」と思っていた富裕層の数は、意外と少なくないのかもしれない。
文・大谷達也/提供元・CARSMEET WEB
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