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今にも潰れそうな会社を立て直すため、経営者が土壇場でできることはどれくらいあるのでしょうか?

「究極を言えば、会社が潰れるということは、お金がなくなることです。お金があって会社が潰れることはありませんので、会社が倒産の窮地に際したときには金融機関との関係性が重要なポイントになります。」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。

今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、 潰れる前に会社ができる最後の金策と資金繰りについて再構成してお届けします。

できそうでできない、不要なもののコストカットと個人資産の売却

最後まで会社を立て直そうとする社長がやるべきことは、まず金策です。不要なもののコストカットや個人資産の売却など、お金に変えられるものはすべて変えます。生命保険の解約や、場合によっては子どもの学資保険の解約など、あらゆるものが含まれます。社長の自宅や車などもそうです。

このとき、社長のメンタリティにもよるのですが、最後まで自宅を手放したくないという社長も多い。

よく、倒産の危機から逆転したなんて逸話に「最後まで自分の車は守った」とか「自宅を手放したら負けだと思った」など、自分の守りたいものを守ったからこそ、逆転できたなんて話がありますが、ああいうのはあくまで美談であって、実際は個人資産を売却できない社長の逆転可能性はかなり低いと言えます。

結局、会社を立て直せなければ、自宅も車も取られてしまうわけです。「守りたい」という時点で、会社を再興させる覚悟がないとも言えます。ですから、いつまでも何かを守りたい、手放したくないという社長が、会社を立て直せるかといえば、かなり難しいでしょう。

会社を救うのは、お金のみ:最終局面の資金繰り法

会社が潰れそうになったときに、もちろん、どんな手段で逆転させるかは、社長の手腕と状況次第です。しかしながら、最終的に会社を救うのはやはりお金。ということで、最終局面の資金繰りについて解説していきましょう。

まずはこれまでに、金融機関と取り引きがあるかどうか。つまり、借り入れがあるかどうかです。窮地に金融機関との取り引きがあるかないかで、生存確率が変わります。金融機関との取り引きのある会社のほうが、圧倒的に生存確率が高い。つまり、最後の追加融資の可能性が残っているのです。