二代目だが、独立した車種としては初代

この連載では第5回において、「六本木カローラ」ことBMW 3シリーズ(E30型系)を採り上げたことがあったが、本物のカローラ自体はまだ紹介したことがなかった。そこで今回は、二代目カローラ……の兄弟車である、E20型系スプリンターのカタログをご覧いただこう(いささか苦しい導入である)。

E20スプリンターは、スプリンターの二代目モデルでもあり、初代モデルとも言える。それはどういうことかと言えば、初代はあくまでカローラのバリエーションであり、車名もカローラ・スプリンターであったからだ。初代カローラは1966年にデビュー、当初は2ドア・セダンのみであったが翌年に4ドア・セダンを追加。そしてさらに翌年の1968年に加わったのが、ファストバック・クーペのカローラ・スプリンターだったのである。

カローラは1970年5月にフルモデルチェンジ、このときスプリンターは独立した車種となったが、それはあくまでカローラの細部デザインを変えたのみの兄弟車であった。この二代目カローラ/スプリンターがE20型系である(大まかには、クーペ:E25/セダン:E20)。この世代において、スプリンターはセダンも加えてカローラに次ぐファミリーカーとしてのバリエーションを形成するのであるが、デビュー当初はカローラ・スプリンターの在り方を受け継いで、2ドア・クーペのみでシリーズを構成していた。

レイアウトはFR、サスペンションは前ストラット/後ろリーフリジッド。搭載エンジンは当初1.2Lのみで、直4 OHVにツインキャブを装着した3K-Bとシングルキャブの3K-Dの2種。グレード構成も、前者を搭載したSLと、後者を載せたデラックスの2種類のみというシンプルさであった。

1970年10月には、新開発の直4 OHV である1.4Lエンジン(T型)搭載モデルを追加。このエンジンはOHVながら、半球形燃焼室やクロスフロー構造などの進んだ内容が特徴であった。さらに1971年8月には4ドア・セダンも追加。そして1972年には、セリカ1600GTの搭載エンジンであるDOHC 1.6Lの2T-Gを搭載するホットモデル、トレノまでもラインナップ。マイナーチェンジで後期型へと移行、OHVの1.6L車も新設するなどしたのち、1974年4月には三代目へと進化している。

グーな仲間は乗っている!硬派なSRも登場、充実の兆しを見せる「二代目スプリンター」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第42回
(画像=最初の見開きはこのように目次となっている。「新車種1400SR」とあるのは、このカタログがおそらく、1400SRの追加に合わせて作られたものだからであろう。となると、1400SLの方が「新車種」ではなく「新発売」と表現されている理由は……? これについては、続く画像のキャプションで触れていこう。、『CARSMEET WEB』より 引用)

個人的にE20型系スプリンターは懐かしいクルマなのだけど…
さて、ここでお見せしているのはそんなE20型系スプリンターの中でも比較的初期、まだ2ドアクーペのみだった時期のカタログである(そのため正確に言えばE25のカタログだ)。発行年月については、表4に「4604」のコードがあることから、1971年4月のものと思って間違いないだろう。サイズは296×244mm(縦×横)、ページ数は表紙を含めて全32ページとなる。

カタログの構成としては、折り畳みのページもない単純なつくりとなっており、とりたてて言うようなこともない。表紙をめくってすぐの見開きは目次となっているのだが、そのページ構成はいまひとつ分かりにくい。これは、各グレードごとに独立してその内容を紹介していく構成を採っているのだが、実際のところは各モデルにそれほどハッキリとした違いがないので、同じ内容を延々と見せられているような感じがするためだ。

また、スプリンターはその出自からもわかる通りスポーティなイメージが売りのモデルであり、そのためこのカタログも当時の若者たちを意識した部分が多いのだが、ゆえに、今となっては気恥ずかしくなるようなイメージカットやキャッチコピー(「グーな仲間は」云々、等)が少なくない。

このカタログは筆者の私物であるが、これを購入しようと思ったのは理由がある。幼い頃の我が家のクルマが、このE20スプリンターだったからである。具体的には4ドア・セダンの後期型、ボディカラーはアイボリー、グレードは確か1200であったように記憶している。ただし、筆者の父親(オーナー)もスポーティ・イメージに惹かれてスプリンターを買ったのではないだろうし、4ドア・セダンにはそもそもそうしたムードはあまりないので、このカタログと記憶の中のマイカーとは、いまひとつ結びつかないようだ。

文・秦正史/提供元・CARSMEET WEB

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