フォーミュラE PR事務局は、2024年3月29日と30日に、東京ビッグサイト周辺の市街地を舞台に開催された、日本初となるフォーミュラE国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」の「来場者数が2万人に及んだ」と発表した。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=日本初開催のフォーミュラE東京大会に2万人が来場、CAR and DRIVER』より引用)

 アジアで開催される27回目のフォーミュラEレース、日本としては初開催となった本大会「東京E-Prix」は、レース前から大きな注目を集めていた。決勝日となる30日には、レース直前のスターティンググリッドに岸田文雄内閣総理大臣、小池百合子東京都知事が駆けつけ会場を驚かせた。

 フォーミュラEにおいてアジアは、51レースが開催されたヨーロッパに次いで2番目に多い来場者数を記録する地域であり、その数は北米を上回る。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=レース直前のスターティンググリッドに向かう岸田文雄内閣総理大臣を乗せたセンチュリー。開場近くには海上保安庁の船が停泊。警備目的と思われる、『CAR and DRIVER』より引用)

 フォーミュラEは2010年、フランス・パリで、当時FIAの会長だったジャン・トッド氏とフォーミュラEの創設者アレハンドロ・アガグ氏が、電気自動車による世界選手権開催の夢をナプキンに描いたことから始まり、2014年には最初のレースが中国・北京のオリンピック公園で開催された。

「FormulaE」の目的は、既成概念をくつがえし、世界の最も象徴的な市街地の中心で、電気自動車のレースを開催し、高性能とサステナビリティが強力に共存できることを示し、EVの普及を推進することだった。今日でもその理念は変わらない。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=2015年、六本木けやき坂通りでフォーミュラEカーが初走行、『CAR and DRIVER』より引用)

 本大会の実現には約10年がかったと噂されている。日本でのイベント開催許可取得をめぐる法律や制度は複雑で、政治的/行政的なプロセスや手順と重なり、実現に向けて多くのロビー活動、会議、議論が必要だった。

 日本でFormulaEのマシンが初めて走行したのは、2015年、東京・六本木ヒルズの敷地内にある六本木けやき坂通りで実施されたデモランだった。

 六本木ヒルズ自治会、森ビルが主催する「六本木ヒルズ盆踊り2015」イベント内のスペシャルコンテンツとして準備され、お祭りと盆踊りを目当てにやってきた多くの人があふれる中、フォーミュラカーが登場。安全を重視した徐行走行にもかかわらず、沿道から大きな歓声が上がった。

 このときステアリングを握ったのは、フォーミュラEにも参戦経歴を持つ山本左近氏。山本氏は現在、国会議員として活動していることはご存じのとおりである。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=マシンを間近で観戦できるフォーミュラEは刺激的だった、『CAR and DRIVER』より引用)

 実際にレースを観戦した筆者の感想として、現地は大変盛り上がっており、大会は大成功だったのではないかと感じた。マシンが通過する際には、甲高いインバーターやモーターの駆動音と、風を切る音を適度に感じることができた。

 鈴鹿サーキットで開催されるF1や、各地サーキットで開催されるスーパーGTやスーパーフォーミュラなどでは、内燃機関の強烈な音で、現地観戦となると、ラジオやアプリがないと、なかなかレースの全体像を理解しながらの観戦は難しい(そこがまた現地観戦ならではの楽しいところなのだけれども)。

 それに比べフォーミュラEは、隣席の人と会話ができるレベルの音量で、レース中も実況のアナウンスの音声を聴くことができる。これはモータースポーツ観戦に慣れている身としては、まったく新鮮な体験だった。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=「東京e-Prix」の特徴的だったターン3のジャンピングスポット、『CAR and DRIVER』より引用)

「東京E-Prix」のコースもコーナリング区間とストレート区間とがバランスよく組み合わされており、いいサーキットだなという印象だった。特徴的だったのはターン3とターン4の間で、マシンが「ジャンプ」することだ。

 どうやらジャンプすることでマシンへのダメージはあったようだが、ストリートサーキットらしい凸凹とした路面を、ドライバー達が果敢に攻める姿にオーディエンスは盛り上がりを見せていた。

 東京大会の決勝レースは、各ドライバーがエネルギーマネージメントに重点を置いた走りを見せており、オーバーテイクする姿はあまり見られなかった。もう少しオーバーテイクしやすいレイアウトなら、より盛り上がっただろうとは感じた。また、エネルギーマネージメント(バッテリー残量)の情報が観客にきめ細かく伝えられていれば、とも感じた。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=会場の「FAN STORE」には長者の列ができていた、『CAR and DRIVER』より引用)

 10年目を迎えたフォーミュラEへの注目度が年々世界的に高まっている。

 現在開催されているシーズン10は、開幕から4レースで累計テレビ視聴者数が40%増という驚異的な伸びをみせ、シーズン9の6200万人から8600万人へと増加。また、ライブ放送の視聴者数は37%増加し、前シーズンの4500 万人から6100万人に増加している。

フォーミュラEが日本に上陸!初の国際大会「2024 TOKYO E-PRIX」に2万人が来場
(画像=EV推進とインバウンドビジネスも狙える本大会。モータースポーツの新しい姿としてどう成長していくか注目だ、『CAR and DRIVER』より引用)

 フォーミュラEによると、来シーズンにあたるシーズン11、2025年5月17日にも、東京でのレース開催を計画していることを明らかにしており、東京e-Prixとして2年連続の開催を目指している。

 フォーミュラE シーズン11の暫定カレンダーについては、FIAと主催のASN、JAFによる審査と承認を経て、2024年6月に発表予定だ。

 今後、この初開催の実績と、より長くより広いサーキットが必要となる可能性が高い2026/27年に始まるGen4時代に向けて、この大会がどのように成長していくかに注目が集まりそうだ。

提供元・CAR and DRIVER

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