1年遅れで登場したファストバック

この記事の公開日は2024年4月1日。今から35年前の今日――すなわち1989年4月1日に発売された名車をご存じであろうか? 答は、日産180SXである。

長らく走り屋の定番車種として親しまれ、S13シルビアのフロントノーズを移植した”シルエイティ”や、あるいはシルビアのボディに180SXのノーズを組み合わせた”ワンビア”のようなカスタムでも印象的な存在であったこのモデルは、同年3月15日に発表され、4月1日に全国一斉発売となった。兄弟車であるS13シルビアは前年5月17日に発売されており、ほぼ1年近く遅れてデビューした訳である(なお、180SXの型式はRS13となる)。

シルビアはそれまでのS12型系ではクーペとファストバックの2本立てであったが、S13ではノッチバッククーペに一本化された。そのため、180SXは従来のファストバックを受け継ぐシリーズであると言えたが、その実は北米仕様のシルビアである240SXをベースに、日本向けに仕立てたモデルでもあった。なお、240SXには、このファストバックのほか、ノッチバッククーペ(フロントはシルビアとは異なり180SXと同じノーズを持つ。ちょうど”ワンビア”と同じ形である)も存在していた。

180SXのスタイリング上の特徴は、やはり何と言ってもリトラクタブルライトのフロントマスク、そしてグラスエリアの広いグリーンハウスであろう。日産では前者を”スポーティフロントビュー”、後者を”ラウンドグラスキャビン”と呼んでいた。さらに、S字を描くボディライン(ウェストラインのこと)は”エアロストリームライン”、独特のリアビューには”ラップラウンドテール”と名付けられている。

シリーズ構成はシルビアより大幅に簡略化
ドライブトレインは無論シルビアと共通であり、レイアウトはFR、サスペンションは前ストラット/後ろマルチリンク。リアビスカスLSDやHICAS-Ⅱ、4WASの採用もシルビアと同様である。エンジンは直列4気筒1.8LのDOHC 16バルブ・ターボ(インタークーラー付き)であるCA18DETを搭載、最高出力は175psであった。シルビアにはノンターボのCA18DE(135ps)も組み合わされたが、180SXにはその設定はなかった。トランスミッションは5速MTとE-AT(フルレンジ電子制御オートマチック)の2種類。

シルビアで好評を呼んだ柔らかなフォルムのインテリア(モダンフォルムシート等)も共通で、グレード構成はTYPE ⅠとTYPE Ⅱの2種となる。より上級となるのはTYPE Ⅱの方で、HICAS-Ⅱやフロントウィンドウディスプレイ(スピードメーターがガラスに表示される)、リアフォグランプなどはこちらにのみオプション設定されていた。当時の価格はTYPE Ⅰ(5速MT)が179万円、TYPE Ⅱ(同)が197万円。いずれもE-ATの場合は9.7万円高となっていた。

文・CARSMEET web編集部/提供元・CARSMEET WEB

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