ネットの大規模掲示板「2ちゃんねる」は、現在のようなSNSが多数登場する以前は、アングラ的な場であるとともに、特異な人々が結集する場所として多大な影響力を有していた。社会活動から犯罪に至るまで、あらゆる伝説を築いてきた2ちゃんねるであるが、その伝説の一つに「北朝鮮のミサイル発射を阻止した」というものが囁かれている。
説明されている内容は以下の通り。
2006年7月、北朝鮮によるミサイル発射が予告された。その際、2ちゃんねるの雑談系スレッドの一つであるVIP板に、『北朝鮮のミサイルを阻止するにはどうしたらいいか?』というスレッドが立ち上がった。多くの人々により様々な意見などが書き込まれる中で、ある一人の書き込みが注目された。「ミサイル発射に使われる可能性があるIPアドレスを特定し、そのサーバーに対して攻撃を仕掛けるのはどうだろう?」
この作戦を実行するためにおよそ80人ものハッカーが集結、IPアドレスの特定に成功し、サーバーへDDoS攻撃を一斉に仕掛けた。その結果、北朝鮮のミサイル発射のシステムが一時的にダウンし、これによってミサイル発射の阻止に成功することとなった。
DDoS攻撃とは、複数の端末からオンラインサービスに大量のアクセスを送り込むことで、そのサービスに過剰な負荷をかけることで停止させることである。
余談だが、2ちゃんねるではこのDDoS攻撃は通称「田代砲」と呼ばれている。2001年にアメリカのTIME誌の表紙を飾る人物の投票として、当時盗撮や覚醒剤所持で逮捕されていた田代まさしを押し上げようという計画が2ちゃんねるで持ち上がり、そのために連続投票スクリプト(プログラム)として開発されたのがこの田代砲である。
2ちゃんねるが北朝鮮に関係した出来事といえば、2017年5月、2ちゃんねらーが北朝鮮のミサイル発射時刻を的中させたというニュースがネット上で話題となった。同月13日、2ちゃんねるにて北朝鮮の暗号放送を翻訳ソフトで解読「14日5時56分、発射予定時刻なのかな」と書き込まれた投稿がなされていた。その後、実際14日に発射されたミサイルは午前5時28分であった。少々時間の差はあるが、ほぼ的中ではないかとしてネット上で騒然となった。
北朝鮮のミサイル阻止のように、2ちゃんねるには優秀とも言える人物が結集し、有益な成果をもたらしたのだという華々しさを飾る話であるが、一方でこの話は実話であるのかを疑問視する声もある。
実際、2006年7月5日、北朝鮮のミサイル発射実験において日本海に計7発の着弾が確認されている。そもそも、発射自体は実行されているのだ。仮に一時的にサーバーをダウンさせることに成功し、その後7発も発射されたということも考えようとしては可能だが、そうだとすれば阻止することに成功とは言えないだろう。7発という数からもおわかりの通り、この時の発射はかなり大規模なものであった。
また、ミサイル発射システムがグローバルIPを持っているという点にも懐疑的な意見があがっており、さらに言えば、この『北朝鮮のミサイルを阻止するにはどうしたらいいか?』というスレッド自体、確認がされていないため本当に存在したかすら怪しいという。北朝鮮のミサイル阻止は、比較的最近になって創作されたエピソードである可能性が高いのかもしれない。
因みに、前月である6月に、DDos攻撃によって2ちゃんねるに障害が生じサーバーがダウンしたという出来事が発生している。この攻撃がどこからなされたかについては判明していない。
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文=ZENMAI(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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