一方、中国側は、中国人民網が「日本は事前調査に1,000万ドル(12億3,000万円)もかけたが実を結ばなかった」と揶揄した上で、「インドネシアが日本を見捨てた理由」として、
中国の高速道技術は確実なものでその名声は海外でも高い。 政府各部門が全力で取り組み指導層が自ら宣伝役を務めた。 中国は十分な外貨準備を保有しており、有利な融資契約を提供することができた。などを挙げた。
安全性と経済性に疑問が残るインドネシア高速鉄道中国がかなり強引に高速鉄道の利権を奪った背景には、習近平主席が進める独自の経済圏「一帯一路」構想の一環として、なんとしてもインドネシア高速鉄道に関与したいとの強い意向があったとされている。
なんとか開業に漕ぎつけたものの、試験運転中に脱線事故を起こしたり、中国から持ってきた車両が中古だったのではないかなどの疑惑があり、安全性に重大な疑念が生じている。
また、ジャカルタ、バンドゥン間の143.2キロでは、あまりに短くて高速鉄道では採算がとれることはなく、今後は毎年赤字が積み重なり、巨額の債務がインドネシア政府を苦しめることになるだろうと言われている。2024年10月に退陣する予定のジョコ大統領は、本当にインドネシアのためになる鉄道を残したのだろうか。
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藤谷 昌敏 1954(昭和29)年、北海道生まれ。学習院大学法学部法学科、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科修士課程卒、知識科学修士、MOT。法務省公安調査庁入庁(北朝鮮、中国、ロシア、国際テロ、サイバーテロ部門歴任)。同庁金沢公安調査事務所長で退官。現在、JFSS政策提言委員、経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員、合同会社OFFICE TOYA代表、TOYA未来情報研究所代表、金沢工業大学客員教授(危機管理論)。主要著書(共著)に『第3世代のサービスイノベーション』(社会評論社)、論文に「我が国に対するインテリジェンス活動にどう対応するのか」(本誌『季報』Vol.78-83に連載)がある。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年10月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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