「建築資材調達」という壁にぶつかった友人同士で設立

Image Credit:Infra.Market

「イノベーションとテクノロジーで建設の未来を再構築する」をビジョンに掲げるInfra.Marketは、 Aaditya Sharda氏とSouvik Sengupta氏によって設立された。

インドの建設業界に10年以上携わっていたSharda氏。2021年公開のYouTube動画によると当時、建築資材のサプライチェーンは地理的に分断化されていて、約80%は地元メーカーが供給しており混沌としていたとのこと。そのような状況の中、次第に業界における資材調達を一元化し効率化を図りたいと考えるようになったという。

一方、建設会社で約5年働いた後、インドの名門ビジネススクールIIM BangaloreでMBAを取得し2016年に卒業したSengupta氏。当時、インドにおけるスタートアップ企業が活況する中、BtoBの領域はほとんど未開拓のままで、そこに大きなビジネスチャンスがあると感じたそうだ。

例えば、鉄鋼とセメントはインド全土で広く入手可能であるにもかかわらず、建設に必要な原材料の供給率は15%程度だったという(参考)。残りの85%を調達しようとSengupta氏は、インドの建築資材のサプライチェーンが複雑で細分化されているという調達の壁に直面したとのこと。

インドにおける建築資材調達の非効率さを体感したSharda氏とSengupta氏。友人であった二人は、サプライチェーンのプロセス全体を可視化するデジタルプラットフォームを構築することに共鳴し、Sengupta氏がMBAを取得したその年にInfra.Marketを立ち上げた。

その設立からわずか5年の2021年には、Construction Worldの「Emerging Company of the Year」、Forbes誌の「Tycoon of the Year」を受賞し、その急成長は、業界だけでなく世界でも認められた(参考)。

Infra.Marketは現在、グローバル展開も拡大しており、ドバイ、シンガポール、イタリアなどにも輸出している。

2023年3月、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現に向けた新たな推進計画を表明した岸田首相。グローバルサウスと呼ばれる途上国のインフラ整備の支援に向け、2030年までに750億ドル(およそ9兆8000億円)以上を投資する旨を発表した。

プラン実現に向け「インドは不可欠なパートナーだ」と強調した日本政府。Infra.Marketは今後、日本とも深い関わりになりそうだ。

参考・引用元:Infra.Market

(文・CANAL KASAI)