遠藤保仁 写真:Getty Images

 横浜フリューゲルス、京都パープルサンガ(現京都サンガ)、ガンバ大阪、ジュビロ磐田でプレーした遠藤保仁氏(現G大阪コーチ)は、昨季限りで現役引退。G大阪時代のチームメイトである播戸竜二氏との対談で、フィジカル重視の現代サッカーがもたらす弊害を指摘。日本代表OBの中田英寿氏と同様、GPS機器による数値測定やスプリントの定義に異論を唱えている。

 今年3月放送の『サタデーナイトJ』(テレビ東京系)では、G大阪のレジェンドが対談。ここ25年間でテクニック重視からフィジカル重視へ変化しているJリーグのプレースタイルに話題が及ぶと、「フィジカル重視のスタイルになって、アスリート化しているとビシビシ感じていた。特に30代後半から引退するまでの間は」とコメント。

 「(現役ラストイヤーも)試合で走っていたと思う。ただ、GPSをつけるようになってから(そうではないと分かった)。データ化することはすごく良くて、ひとつの参考材料になると思うけど。ダッシュしているけど、スプリント回数が数値が届かない」と、磐田在籍時の経験談を語る。

 GPS測定により、練習内容や試合へのアプローチ方法が変化しているJリーグ。ただ、遠藤氏は「自分のマックスを測ってから(GPSの測定を)やってくれよと思う。マックスを測らないまま、『誰が時速25km以上のスピードで1秒以上走ることがスプリントだ』とか、サッカーにおいて誰が決めたのかなと。GPSに関して、現役時代は疑問に感じていた」と主張。

 スプリントの定義がサッカーの世界で正しく使われていないと主張すると、「自分自身はスプリントをしているつもりでも、スプリントになっていない。20歳の選手と44歳の選手がよーいドンして、(20歳の選手に)勝てるのは武井壮くらい」とジョークを飛ばした。

 フィジカル重視の現代サッカーにおける数値の活用方法については、遠藤氏のみならず中田氏も疑問を感じている模様。同氏は昨年11月、セリエA(イタリア1部)ローマ時代のチームメイトであるフランチェスコ・トッティ氏と対談した際に「どれだけ走れて、どのぐらい速いか、強いか(が重要になっている)。GPSで100キロメートル走ったとか、100回ダッシュしたとか測定されているけど、サッカーをすることと、走ることが全く異なるもの。そこが問題なのに分かっていない人が多い。ファンタジーのあるプレーはもう見られない」と述べると、「だから、俺はもうサッカーは一切見ない」と切り捨てていた。