本田圭佑氏 写真:Getty Images

 日本代表の一員としてFIFAワールドカップの舞台でプレーした経験を持つMF本田圭佑(無所属)は、かつてオランダのVVVフェンロに在籍。先日、町田ゼルビアの藤田晋代表取締役社長兼CEOと対談した際に、オランダでの差別被害を告白しているが、現地でプレーしている日本人選手も差別の実態を語っている。

 本田は2008年1月からおよそ2年間にわたりVVVフェンロでプレー。加入1年目に2部降格という屈辱を味わったが、2008/09シーズンにオランダ2部リーグで16ゴールをマーク。1部昇格の立役者となったが、その裏では心無い言葉を浴びせられたという。

 同選手の公式YouTubeチャンネルでは、今月はじめに藤田氏との対談が公開。VVVフェンロ移籍当初について「最初にオランダ行った時、日本から車のメーカー(ホンダ)のやつが来て、お前らみたいなサッカー後進国がここで何ができるんだ、というようなことを平気で言う。何度も差別的なことには遭ってきました」と語ると、「差別的なことを言われるとゾクゾクっとくるので」とピッチで好パフォーマンスを発揮するための力に変えていたことも明かした。

 本田に対する差別に関連して、オランダ紙『デ・フォルクスクラント』が先月29日に「オランダでは、東アジアにルーツを持つ人の3分の1以上が差別を経験している」とリポート。日本人の両親のもとオランダで生まれたMF池下由也(オランダ2部FCデン・ボス)は、同国での人種差別について以下のようなコメントを残したという。

 「ピッチで『中国人』『韓国人』『切れ長の目』などと罵られることがよくあります。有色人種の人は、差別されたときにもっと反応しますけど、僕たちはかなり控えめですし、無視しますね。耐性がつきましたよ。彼らが何を言おうが気にしない。良いプレーをすることに集中していますよ」

 池下のコメントを踏まえると、差別に対して過剰に反応しない点が、日本人選手にとって大きなアドバンテージになっているとのこと。DF菅原由勢(AZ)やFW小川航基(NECナイメヘン)など、今もなお多くの日本人選手がオランダで活躍しているとはいえ、日本では中々報じられないような差別が蔓延っているようだ。