北朝鮮の国旗 写真提供: Gettyimages

 北中米W杯アジア2次予選の北朝鮮代表対日本代表は、今年3月26日に平壌での開催が予定されていたが没収試合に。日本代表の不戦勝という国際サッカー連盟(FIFA)の決定に対して、北朝鮮代表のシン・ヨンナム監督は不満を抱いているという。

 13年ぶりの平壌開催で世間の注目を集めていた日本対北朝鮮。拉致・核・ミサイル問題もあり、北朝鮮渡航への反対意見が挙がる中、北朝鮮側は21日に「日本で悪性感染症が流行している」として、突如平壌開催の中止を申し入れ。FIFA規律委員会は北朝鮮が一方的に自国開催を返上したとして、没収試合で日本の不戦勝にすると先月30日に決定。北朝鮮に対しては、1万スイスフラン(約167万円)の罰金を科している。

 ただ、平壌開催中止から没収試合決定に至るまでの一連の流れに対して、シン・ヨンナム監督は違和感を抱いているとのこと。朝鮮系メディア『MKスポーツ』が今月3日に報じたところによると、指揮官は在日朝鮮人のインタビューに応じた際、以下のようなコメントを残していたという。

 「我々のもとに公式発表の知らせは無かった。日本で感染者数が急増しているため、日本代表一行が北朝鮮に入国できないと聞いたにしかすぎない。平壌でプレーできないことは非常に残念だ。選手も家族、親戚、友人、知人の前でプレーしたいと思っていた。相手が日本だっただけにね。平壌で勝利する自信はあった」

 国立開催の一戦で、後半にプレー強度の高さから日本を自陣に押し込んでいただけに、平壌開催の一戦における勝利を確信していたシン・ヨンナム監督。北朝鮮がスポーツイベントを政治利用する国として知られているだけに、「北朝鮮代表チームに非はない」と解釈可能な主張の裏には何らかの政治的要素があるかもしれない。