FX(Foreign Exchange)は外国為替証拠金取引のことで、短時間で高い利益を出せる可能性もあるハイリスク、ハイリターン商品のため人気が高い。FXの人気の理由やメリット・デメリットとは?
FXは異なる2つの通貨を売買する取引
FXは異なる2つの通貨を売買して為替変動によって為替益や金利を得ることを目的とした取引である。委託証拠金を担保にしてFX取扱業者を通じて取引し、為替差損だけを業者と受け渡しを行う「差金決済」が特徴。
FXは少額の自己資金でも大きな金額の取引ができる「証拠金取引」のひとつである。国内では、FXの証拠金は金融商品取引法によって規制されており、「取引額の4%以上の証拠金預託(レバレッジの上限が25倍)」に定められている。
FXの人気の理由は短期間で高収益を獲得できる可能性
FXの人気は高い利益率にある。FXを取り扱う証券会社やFX取扱業者ごとに最大25倍までのレバレッジ倍率が設定されており、投資家自身が自己資金に応じて倍率を選ぶことができる。
たとえばFX取扱業者に委託証拠金10万円を預け、レバレッジ10倍コースを選ぶと、およそ100万円分の取引が可能になる。1米ドル=100円の時に「米ドル/円」を1取引単位(1万米ドル)購入し、円安が進んで110円で売却できれば差額は10円となり、10円×1万つまり10万円の為替差益が得られる。
証券会社でFXを取引すれば、委託証拠金として現金を預けなくても、株式や投資信託を担保に現金ゼロでも取引可能だ。
FXの3つのメリット 低コスト、短時間取引など
FXのメリットは低コスト、短時間、24時間取引可能な特徴などが挙げられる。それぞれ詳しく見ていこう。
低コストで取引できる
一部のFX取扱業者では若干の取引手数料が発生する場合があるものの、SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券といった大手証券会社ではFXの取引手数料は無料だ。さらに委託保証金を担保にして行う差金決済取引なので貸株料や金利も発生しない。
コストがかかるのはFX取扱業者ごとに異なる為替スプレッドだ。2019年5月現在、米ドル/円の最安為替スプレッドは、SBI FXトレードの0.27銭。続いてカブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券、DMM.com証券(FX)などが0.3銭だ。
短時間で結果を出せる
為替レートの変動要因は、主要経済指標の発表(雇用統計、失業率)、株価、貿易黒字・赤字、金利動向、資源価格、戦争や天災、海外の要人の発言など。またチャート分析によって規則性を見つけ出して取引を行う投資家も多く、為替が変動する。
テクニカル分析やファンダメンタル分析などの情報収集によって、為替相場が動くきっかけを察知できれば、即座の対応で短時間・短期間での益出しも可能なのもFXの魅力だろう。
スワップポイントで中期でも利益を出せる
低金利通貨で高金利通貨を買うと、2つの通貨の金利差益(スワップポイント)が発生する。原則的に毎日スワップポイントを受け取ることができるので、大きく為替相場が変化しない限り、銀行の預金感覚で中期でもスワップポイントでも稼ぐことができる。
24時間いつでも取引可能
外国為替は世界各国の通貨を扱う取引なので24時間いつでも取引できる。日中多忙で投資に充てる時間がない人でも夜間や早朝でもFX取引可能。とはいっても土日は取引できない。また元日やクリスマスはイレギュラーな取引時間となるため取引時間には注意したい。
FXは全自動取引や自動発注システムも普及しているので、昼夜問わず自分の投資方針に適した取引を自動的に行うことも可能。
信託保全がセーフティネットに
外貨預金や外貨建MMFといった外国為替商品と違って、FXの資産は改正金融商品取引法に則って信託財産として信託銀行等で区分管理される。
万が一FX取扱業者が倒産しても、弁護士などの受益者代理人を通して顧客資産の返還を受けることができる。
FXが危険視される理由と損失拡大を防ぐ強制決済(ロスカット)ルール
FXはレバレッジ倍率が高ければ高いほど多くの利益を期待できるが、その反面、相場が悪化すれば、一気に自己資金をはるかに上回る多大な損失を被るリスクがある。これがFXが危険視される理由の原因だ。
為替相場の変動により証拠金維持率が100%を下回れば新規注文が取り消され、「追証」(追加証拠金)が発生する。定められた期限までに追証を行わなければ強制決済されてしまう。
FXには損失の拡大を防ぐ目的で「ロスカットルール」も設けられている。投資家自身が事前に設定した水準まで証拠金維持率が下がると、自動的にロスカットが発動されて強制的に決済される仕組みだ。
しかし為替相場の変動があまりにも急激であると、ロスカットの発動が間に合わず想定外の大きな損失が出る可能性もあるから、証拠金維持率は高めにしておくのがいいだろう。
損失を最小限に抑えるためにすべきこと
レバレッジ倍率の上限で取引するのを極力控える、余裕をもたせた委託証拠金を差し入れる、新規注文時点で逆指値による決済注文をあらかじめ出しておくなど、FXで相応の利益を確保したければ、限界ギリギリまたは無理な取引は避けるべきと心得たい。
FXにはハイリスク・ハイリターンの魅力がある
少ない資金から始められて資産額が億単位に達した投資家を称する「億り人」(おくりびと)という言葉がたびたび聞かれるのもFXならではだ。
しかしいったん損失が出始めると、追証の発生やロスカットの発動で損失の拡大を防ぐことはできるが、大きな含み損を抱えるリスクがある。
そのため損失額を最小化し追証やロスカットが発動することがないように十分配慮したい。
文・近藤真理(フリーライター)
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