ベンチプレスは、トレーニングベンチに仰向けに横たわり、手でバーベルを押し上げたり下ろしたりする動作を繰り返すウェイトトレーニングだ。一般的な筋肉トレーニングだが、世界各地でしばしば死亡事故も発生している。
河南省南陽市鎮平県で2023年7月3日午後、スポーツジムでベンチプレスをしていた男性が120キロのバーベルで首を圧迫されて窒息死する事故が発生した。
亡くなった侯さん(27歳)は、ジムの共同経営者の友人で、同ジムでインストラクターを務めていた。インストラクターを辞めた後は地元の検察院で書記官として働き、昼休みに同ジムを無料で利用していた。
事故当時、同ジムにはスタッフがいなかった。侯さんは一人でトレーニングを行い、その様子を動画撮影していた。事故から数か月後、事故の瞬間を捉えた動画がネット上に流出して拡散された。現在は海外の動画共有サイト「TheWorldWatch」で視聴できる。

動画には、誰もいないジムでバーベルを押し上げている侯さんの姿が映っている。しかし、支えきれなくなったようで、腕が痙攣した後、バーベルを落としてしまった。バーベルのバーが侯さんの首に食い込んでいる。侯さんは手足をばたつかせているが、身動きは撮れないままだ。助けに来るスタッフもいない中、数分後、侯さんは動かなくなった。
2023年7月27日、侯さんの遺族はジム側に損害賠償を求め、同ジムの共同経営者らを相手に訴訟を提起した。同年8月には同ジム側の責任を9割とする1審判決が出たが、ジム側はこれを不服として上訴した。
同年12月には、ジム側は遺族に50万元(約1000万円)の賠償を命ずる2審判決が言い渡された。ジム側は既に15万元(約300万円)を遺族に支払い、残りの35万元(約700万円)は分割して支払う予定だという。同ジムは2019年に開業してから経営不振で、2023年から好転の兆しが見え始めていたところだった。このような状況下で起きた事故は、今後の経営にも大きく影響することだろう。

中国の法律専門家は、ジム経営者にはジム内の安全を確保する義務があるとし、会員やスタッフ以外の利用者の事故に対しても責任を負うべきだと主張する。一方で、ネットユーザーの間では、侯さんのトレーニング方法を非難し、ジム側を擁護する声も多い。
2審判決に対しては賛否両論があるが、ジムを経営する以上、設備を利用する者が誰であろうと、そこに安全配慮義務が発生すると考えるべきであろう。侯さんが自由にジムを使える状態を放置したこと、さらに、侯さんのトレーニング中にスタッフがいなかったことは、ジム側の安全配慮義務違反と認定されても決して不当ではない。ベンチプレスと特に事故の多いトレーニングであることをジム経営者もジム利用者も理解しておくべきだ。
※動画は「TheWorldWatch」にてご覧いただけます。
参考:「香港01」、「Yahoo奇摩新聞」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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