「原作者の意向が最優先される」という大前提
日テレ関係者はいう。
「一般的に原作サイドとテレビ局の間で取り交わす契約書では『原作者の許可なく改変してはいけない』というレベルの大枠までしか書かれておらず、具体的にどれくらいのどういう変更なら許容されるのかといった細かい内容までは書かれない。そこまで細かな内容をあらかじめ契約書に盛り込むのは現実問題として難しく、今回の『セクシー田中さん』では芦原さんが要求していた『原作に忠実に』のレベルの厳しさが、小学館と日本テレビを通じて脚本家にきちんと伝わっていなかったとみられる。原作者がどこまで原作に忠実であることを求めるのかは、その原作者によってまちまち。ドラマ制作の現場では、その都度、プロデューサーなりが原作者と脚本家の間の言い分を調整し折り合いをつけながら進めていくものなので、今回も制作サイドとしては『進めていくなかで調整していく』という意識だったと考えられる。
現在ではウチの局に限らず『原作者の意向が最優先される』という大前提がドラマ制作にはある。ただ、局の制作スタッフや脚本家としては『原作者がそこまで細かく要求してくるのは、いかがなものなのか』と抵抗を感じる場面が出てくるのも事実で、それゆえに最悪、脚本家の降板などが起きる。『原作に忠実』というのは大事だが、連ドラは1話1時間で全10話ほどという制約があり、各話のラストでは翌週の回まで視聴者を引っ張るように工夫し、さらにいえば『ドラマとして面白いもの』に仕上げなければならず、完璧に原作に忠実にすることは不可能。当然ながら脚色や原作にない内容の挿入などが発生する。それを原作者側が『仕方がないこと』『ドラマとしての演出』と理解してくれるがどうかは、その原作者次第になってくる」