近年プラスチックによる環境汚染が地球上の生物に深刻な問題を引き起こす中、イスラエルのスタートアップBiotic Circular Technologies(以下、Biotic)がその解決に挑んでいる。同社は、完全バイオベースかつ生分解性のプラスチック代替品「PHBVポリマー」を開発している。

Image Credit:Biotic

本記事では、技術革新と持続可能な開発目標の実現に注力し、プラスチック代替品市場で大きな注目を集めるBioticの技術について紹介していく。

マイクロプラスチックの危険性

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プラスチック汚染の影響は海や川だけでなく人間から動物にも及ぶと言われており、深刻な問題になっている。

OECDによると、2019年のプラスチック生産量は約4億6,000万にものぼるという。廃棄されたプラスチックのうちリサイクルされるのはわずか9%。22%は管理されていないゴミ捨て場に投棄されたり、露天掘りで焼却されたり、特に貧しい国々では地上や水中に捨てられたりしているそうだ。

ポイ捨てなどにより川や海、雨水などに放出されたプラスチックは「マイクロプラスチック」となる。

マイクロプラスチックは5mm以下の微細な破片のこと。PCB、ダイオキシン、DDTなど、残留性有機汚染物質と呼ばれる海中の有害化学物質を取り込みやすく、海中を漂って拡散するため、環境汚染の要因となる。

また、マイクロプラスチックを摂取したプランクトンを小魚が食べ、大型の魚が小魚を食べ…という食物連鎖を通じて、有害化学物質が生き物の体内に蓄積する。

このようなプラスチックによる深刻な環境汚染に挑むBioticは、どのような技術をもつのだろうか。

代替プラスチック業界で注目のスタートアップBiotic

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Bioticは、2020年にCEOであるAdi Goldman氏とCOOのEran Perlstein氏によって創立されたスタートアップで、イスラエルのカイサリアに拠点を構えている。

同社は「化石ベースのプラスチックに代わる環境に優しいプラスチック代替品を提供し、汚染を減らし、健康な地球環境の実現に貢献すること」をビジョンに掲げ、プラスチック代替品「PHBVポリマー」を開発。

2022年にはアグリテックスタートアップ支援ファンドであるRockstartやThe Yield Labなどの投資家たちから200万ユーロを調達し、PHBVポリマーの生産強化にあてた(参考)。