日本の国技は何?と質問されたら、「相撲」と答える人が多いのではないでしょうか。
しかし今回調べてみたことろ、「相撲」は日本の国技だとは言い切れないことが分かりました。この事実は驚きですよね!
相撲が国技ではないなら、一体何が国技なのかさらに調べてみたところ、日本には「これが国技だ!」という正式な競技自体がないことも分かりました。
では、なぜ相撲が国技とされることが多いのでしょうか?その理由から、世界の国技についてもご紹介していきましょう。
目次
相撲が国技ではない理由
・国技とは
・日本では国技を制定していない
・相撲が国技といわれる理由
相撲が国技とされる理由は「国技館」にあり
・古来より伝わる相撲
・相撲が国技というのは相撲協会の自称?
相撲が国技ではない理由
日本の国技といったら「相撲」というイメージが強いですが、実は相撲は日本の国技ではないんです。
では、なぜ相撲は日本の国技といわれるのでしょうか?
国技とは
国技とは、その国の特有の技芸、武芸で、その国の代表的な競技のことです。
競技人口の多いスポーツを、その国の国技とすることもあります。国技には厳密な定義は存在しておらず、事実上の国技となるものもあります。
一方で、各国の法令でわざわざ国技と定めるものもあります。
日本では国技を制定していない
日本においては、法令や政令で定められた国技は1つもありません。
法令で制定されてはいないものの、相撲・柔道・剣道・弓道が国技と呼ばれることはあります。
相撲が国技といわれる理由
日本では国技を制定していませんが、相撲が国技であるという認識が強いですよね。
では、なぜ相撲が国技と言われるのでしょうか?その理由はいくつかあります。
相撲が国技とされる理由は「国技館」にあり
相撲が行われる常設館として知られるのは、両国にある「国技館」ですよね。
この国技館は最初、1909年に相撲団体初の常設館として完成しました。
この常設館は3代尾車親方の大戸平廣吉によって、「国技館」と名称が提案され、命名委員会会長の板垣退助の了承を受けて命名されたそうです。
相撲の常設館が「国技館」と命名されたことによって、それまで神事として行われていた相撲が、国技として認識されるようになったと考えられています。
「国技」と命名されている国技館で行われているくらいなのだから、相撲は国技なんだろう・・・という考えが広まっていったんですね。
ちなみに最初の国技館は現在の場所ではなくその近く、回向院という寺院の境内に建設されていたそうです。
古来より伝わる相撲
相撲は古来より伝わる競技です。
相撲の起源をさかのぼると、垂仁天皇7年(紀元前23年)に野見宿禰(のみのすくね)が垂仁天皇の命で当麻蹴速(たいまのけはや)と仕合ったことがはじまりだといわれています。
奈良時代〜平安時代にかけて、相撲は宮中行事の1つとして行われていました。
さらに時代が下り、鎌倉時代~戦国時代には武家の間で行われる組み打ちの格闘訓練として武家相撲という形態が主流になっていきました。
そして江戸時代に入ると、平和な時代が来たこともあって武家相撲は存在意義を失います。
一方、地方で民衆向けに行われていた土地相撲は見物料をとる興行化することで規模を拡大していきました。
江戸時代の中期、1700年代中期になると大名によるお抱え力士も存在する勧進相撲が行われるようになり規模も拡大していきました。
この江戸時代の勧進相撲が現在の大相撲の源流となっています。
相撲が国技というのは相撲協会の自称?
相撲が国技と言われているのは、相撲協会が公言していることも影響しています。
相撲協会は、「相撲はわが国固有の国技である」とメッセージを発信しています。
また、先ほどご紹介した国技館の命名に際しても、開館式の披露文の起草文に「角力は日本の國技なり」とあったのがきっかけだともいわれています。
・・・ということは100年以上、相撲協会側では「相撲は日本の国技である」という自負があるという事になりますね。
しかし、政府としては「相撲は国技である」と正式に認めたことはなく、特別な位置づけを相撲に与えるつもりもないとしています。
政府は相撲が国技であると言われていることは知っているものの、あくまでも「広く国民に親しまれている競技である」という主張で相撲協会側が国技だと発言している認識をしているようです。
このような見解から、あくまでも「相撲は国技である」というのは相撲協会だけの発言であって、その発言を聞いて私たち国民が受け入れているだけのことなのです。
たしかに日本を代表する競技は何かといわれたら相撲を挙げる人は多いのではないでしょうか。