インドの個人投資が活況を呈している。インド国立証券取引所によれば、個人投資家の数は2021年10月時点で5000万人だったのが、2023年9月には8000万人を超えた。2年弱で3000万人(60%)の伸びを示している。さかのぼると、3000万人から5000万人に到達するのにも22か月かかったという(参考)。こちらも2年弱で66%増。コンスタントかつ急激に増えていることがわかる。

こうした個人投資家の急増に一役買っているのが、2016年創業の証券会社であるGrowwだろう。創業前の時点で、インドには投資余力のある個人が2億人近くいたものの、実際に投資しているのは2000万人ほどに過ぎなかった。

Groww創業者によると、「インドの金融商品は投資プロセスが複雑で不透明」だったためだ。その障壁を取り払い、今やGrowwだけで1500万人のユーザーを抱えるまでになった。

膨大な情報量と利便性で投資をシンプルに

Image Credit:Groww

Growwの共同設立者でCEOのLalit Keshre氏は、インドEC大手企業のFlipkartでプロダクトマネジメントを担当していた人物だ。それ以前に教育分野での起業経験もある。会社勤めをしながらも、起業家精神は持ち続けていたのだろう。

Lalit氏を含む共同設立者たちは、インドの金融商品が「複雑で不透明」という問題を解決すべく、投資をシンプルにすることを目指した。まず行ったのは、市場調査と問題点のリサーチだ。顧客の資金を守るため、安全性の確保にも細心の注意を払った。

2017年に投資信託を扱う証券会社としてスタートすると、1年を待たずにインドで最も人気のあるプラットフォームの1つに成長。その後、取扱商品を株式やETFへ拡大している。

Groww 株価チャート

Groww公式サイトの商品ページを見ても、急成長の理由がわかる。株価のチャートや企業の財務状況はもちろん、投資アナリストの分析に基づいた「売り」か「買い」かのアドバイスまで見られるのだ。注文などの操作もわかりやすい。

公式YouTube動画では、「専門用語を知らなくても注文できる」ことを1つの売りにしている。

Groww 投資信託シミュレーション

また、手数料の計算や投資信託のシミュレーションなどのツールも充実している。

「複雑で不透明」という課題を、膨大な情報量と利便性で見事に解決しているわけだ。